エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.620
2017.12.09 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
デュアルコアのCeleron J3355(定格2.0GHz、バースト2.5GHz)や2GBメモリを搭載 |
ここからは、インターフェースなどのスペックからボディ構造、HDDの取り付け方法まで、「DS218+」を徹底チェックしていこう。
まずはスペック面だが、冒頭で述べたように「DS218+」はIntel CPUの「Celeron J3355」を搭載。これによりCPUに備わっているハードウェアによるH.264、H.265動画の変換とAES-NIによる高速な暗号化/複合化が可能になっている。とくに最近は、個人/ホームでの使用でもデータの暗号化は、視野に入れておきたいところだ。
このIntel CPUに加え、仮想化アプリなどを活用するときにパフォーマンスに影響するメモリ容量は標準で2GB。さらに増設が可能で、4GBを追加することで最大6GBにできる。
搭載CPUのスペックや搭載する物理メモリの容量は、DSMの「コントロールパネル」にある「情報センター」で確認できる |
メモリの増設スロットには、ストレージトレイを抜き取るだけでアクセスできる。SynologyオプションのDDR3 1866 4GBメモリ「D3NS1866L-4G RAM」が増設可能 |
ファイルの共有などでは、メモリ容量はあまり必要ではないが、動画のオフライン変換を実行した際には、キャッシュとして1.2GBが確保されていた。使用状況に応じてメモリ増設できるのは魅力的だ |
Synolohgy NASの魅力に、複数のバックアップ機能が挙げられる。その中でも「Snapshot Replication」は、重要なデータを保護する、ビジネスユースを想定した復元ツールだ。
例えば意図しない操作ミスにより、データを上書き保存した場合でも「スナップショット」機能により、共有フォルダに保存されたデータを復元。保存するタイミングは週に1度や、2日置き、1時間毎など、細かく設定する事ができる。利用シーンに合わせて設定を行えばいい。保存されるのは保存済みデータの差分毎になるという賢さで、ストレージ容量を気にする必要がない点も大きなポイントと言えるだろう。もちろんこの機能は、ホームユースでも有効で、いざという時に活躍してくれるに違いない。
なお「Snapshot Replication」機能が利用できるのは、Synology NAS用OS「DSM」のバージョン「6.0」から。新たに採用された「Btrfsファイルシステム」を使用したボリューム上の共有フォルダのみになっている。
「Btrfsファイルシステム」を利用したデータ保護機能もご紹介しよう。RAIDボリュームに保存された重要な情報が含まれているメタデータは、常時復元できるようにコピーを2つ作成。読み込み処理中にデータ破損を検出した場合でも、ミラーしたメタデータで破損したファイルの自動検出を行い、対応しているRAIDボリュームを使用して破損したデータの復元を行う。
また「Btrfsファイルシステム」にも「スナップショット」機能があり、データベースが失われたり、破損しても、前回スナップショットを行った時点までデータを復元することができる。
さらに現在開発中の仮想化アプリ「Virtual Machine Manage」でも、「Btrfsファイルシステム」は使用要件になっており、今後も必要となる機能は増える可能性がある。旧機種も含め対応機種は増えているものの「DS216j」や「DS218j」といったエントリーモデルは非対応。「DS218+」など上位モデルに限られるという点は、SynologyのNASを選ぶ際の大事なポイントになってくるだろう。
「Snapshot Replication」機能は便利だが、基本的に同一ボリューム内に保存するため、ドライブ自体に不具合が発生した事態の復旧には対応ができない。そこで万が一に備えた復旧向けのバックアップも必要になるワケだが、「Btrfsファイルシステム」は不要で、機種に依存せずに利用できるのが最新の「DiskStation Manager」。
ここでお勧めしたいのが、別のNASやUSB外付けHDD、クラウドストレージなどに、NAS内の共有フォルダを指定して簡単にバックアップできる「Hyper Backup」だ。ビジネス向けのクラウドサービスだけでなく、Google DriveやAmazon Drive、Dropbox、Microsoft Azure等のクラウドサービスへのバックアップにも対応する。
写真を容量無制限で保存できる「Amazon プライムフォト」。大事な写真を管理、保管しているNAS内の「photo」フォルダを定期的に、バックアップすることもできる |
もちろん、バックアップのスケジューリングにも対応。「Smart Recycle」を有効化して古い不要なバックアップを自動的に削除したり、異常なストレージ使用をメールで警告できる。停電やネットワーク切断などの理由でバックアップが停止しても、中断された時点から再開。さらに必要に応じて、ユーザー自らがタスクを一時停止させてから再開することも可能だ。
DSM6.0から採用された多彩なバックアップ機能が魅力の「Hyper Backup」。さまざまなクラウドサービスを保存先に選択できる |
時間、日、月ごとにバックアップバージョンを管理する「Smart Recycle」機能はオススメのバックアップ機能のひとつ |