エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.628
2018.01.15 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
さて、「HERMES P2 JPN」の打ち心地や使い勝手はどうだろうか。実際に試した感触をリポートしよう |
メカニカル同様のストローク機構を備えた「GAMDIAS認定オプティカルスイッチ」は、おそらくCherry MX互換のスイッチをベースにしたもの。本機の搭載する「青軸スイッチ」は、タクタイルと打鍵音を兼ね備えたCherry MX青軸に酷似しており、メカニカルキーボードの愛好家も満足な打鍵感が味わえる。
分厚い金属製のトッププレートがもたらす底打ち感は絶妙で、入力時のブレやたわみは一切なし。さらにスペースキーや「Shift」キーのようなバータイプのキーに内蔵されている、安定用金具のスタビライザーも良いものが使われているようだ。一部の安価なモデルでは底打ちできない製品もある中で、「HERMES P2 JPN」は細かい部分までよく配慮されている。
やや難があるとすれば脱着不能なパームレストだが、そもそもこの手のフルキーボードでは、パームレストはほぼ必須の装備。いざという時の自由度は減るものの、元来の据え置き用途ではそれほど影響はないかもしれない。
同時押し機能もしっかり動作。30キー以上でも、入力漏れなくすべてが認識されている |
立ち上げから日が浅い新興メーカーの製品とあって、ややハードルを低めに設定していたものの、「HERMES P2 JPN」にはいい意味で裏切られることになった。全キーを対象としたマクロ・機能割り当て機能や、同じく全キーカスタマイズが可能なRGBイルミネーションなど、ハイエンド層のゲーミングキーボードとしての骨格はしっかり備わっている。
さらにまだ新しい機構である「光学式スイッチ」を採用した、チャレンジ精神はさすが。流通量が多いメカニカルスイッチに比べ、コスト高になりがちな光学式を搭載しながら、価格は十分に許容範囲内。頑丈な金属製天板による底打ち感も爽快で、その打鍵感にはメカニカルキーボードの愛好家も十分に納得させられるだろう。
「HERA」による圧倒的な拡張性をはじめ、ハイエンドモデルに相応しい機能を備えたゲーミングキーボード。光学式スイッチを最大限に活かす、新しいカスタマイズ要素の登場にも期待したい |
ちなみにメーカーが「入力レスポンスが倍に向上する」と謳っている光学式スイッチだが、そのメリットは速度面より運用面の方が大きいように思われる。キーの入力にはどうしてもストロークの手間が発生するため、その点でメカニカルスイッチとの違いはない。むしろ接点不良を克服したことによる耐久性の大幅向上と、デジタル化の副産物であるキーユニットの脱着機能こそ、光学式スイッチにおける最大の注目要素といえる。
特に気になるのが、ユニット脱着による換装機能。今は残念ながら構想がないようだが、異なる打鍵感の交換用ユニットがラインナップされれば、非常にユニークなカスタマイズ要素になってくれそうだ。(換装の手間はさて置き)打鍵感の好みに合わせて丸ごと換装するもよし、エリアごとに異なる軸を搭載するもよし。光学式ならではの遊び方が楽しめるだろう。
協力:株式会社アイティーシー