エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.629
2018.01.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
続いて「ATTO Disk Benchmark 3.05」を使いシーケンシャルアクセスの最高性能を確認していこう。
ATTO Disk Benchmark 3.05 |
シーケンシャルアクセスの最高値測定に用いられることが多い「ATTO Disk Benchmark 3.05」だが、読込は最高533MB/sec、書込は公称値を大きく上回る479MB/secを計測。さらに128KB以降ではほとんどスコアにブレがなく、常に安定した転送速度が期待できるのもこのクラスのSSDとしては大きなメリットだ。
テストセッションのラストは、オールドPCに「SL500 640G」を導入し、実際の動作をチェックしていこう。テスト環境にはSandyBridge世代のCore i3-2100Tと、7,200rpmのSeagate製3.5インチHDD「Barracuda 7200.12」シリーズの500GBモデル「ST3500418AS」をベースにしたデスクトップPCを使用した。近頃、OSの起動でももたつきを感じるようなってきたセカンドPCの体感速度が、どの程度改善できるのか楽しみだ。
「SL500 640G」なら元のHDDより約140GB(実容量は若干少なくなる)大きいため、ストレージ容量にも余裕ができる |
「SL500 640G」は、USB3.0対応のクレードルを使い接続。クローンにかかった時間は約30分 |
「ST3500418AS」の「CrystalDiskMark 6.0.0」のスコア | 「SL500 640G」の「CrystalDiskMark 6.0.0」のスコア |
まず「CrystalDiskMark 6.0.0」のスコアを確認すると、HDDが苦手とするランダムアクセスは100倍以上、シーケンシャルアクセスも約4倍と大幅に向上した。続いて実際の動作を確認すると、システムの起動時間はメモリチェックなど、ディスクアクセスに関係ない処理もあるためその差は約20%とやや低め。しかし、Google Chromeの起動時間や、10GB分のファイル転送はいずれも約40%と大幅に作業時間が短縮。実際にPCを操作していても、フォルダの開閉などで明らかにパフォーマンスの向上が体験できた。
480/512GBモデルのエントリーモデルと同等の価格にも関わらず、容量640GBというコストパフォーマンスが魅力のColorful「SL500 640G」。一方で、多くのSSDで標準装備されるDRAMキャッシュが省略されており、正直テストを始めるまでは性能面にはあまり期待をしていなかった。
ところが、実際にベンチマークテストを進めると、シーケンシャルアクセスは読込・書込とも公称値を上回るスコア。サイズの大きいデータのランダムアクセスではやや苦戦するも、多くのTLC NAND SSDが苦手とする「HD Tune Pro 5.60:Benchmark Write」でも安定したパフォーマンスを発揮するなど、予想はいい意味で裏切られることになった。
NVMe SSDの登場により、SATA3.0(6Gbps)SSDの性能面でのインパクトは薄れたが、価格面ではまだ有利。特に安価な「SL500 640G」は、HDDを搭載するオールドPCのアップグレードに最適だ。複数台の購入も現実的なことから、これまでなかなか手を出しにくかったRAID 5/10など、性能と信頼性を兼ね備えたストレージ環境の構築に挑戦してみるのも面白い。