エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.636
2018.02.15 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
120mmサイズ2基のラジエターは、どうにか収める事ができた。しかし完成までの道のりは険しく、構成パーツの組み合わせにより、物理的に搭載ができないケースもありそうだ。どうしても導入を試みるなら、ある程度のスキルが必要になってくる事を付け加えておきたい。
Phanteksの完成図同様、デュアルラジエター構成での組み込み例。内部は密集しているものの、熱源への対処が的確に行われているだけに、パワフルなPCが構築できる |
なおグラフィックスカードと縦置きラジエターは急接近しているため、補助電源コネクタは物理的に装着が困難。そこで補助電源コネクタ無しのグラフィックスカード選定と行きたいところだが、それでは水冷を導入する意味が薄れてしまう。「ENTHOO EVOLV SHIFT」のデュアルラジエター構成は悩みが尽きない |
Phanteksは新製品の登場を楽しみにしているメーカーのひとつだ。「COMPUTEX TAIPEI」会期中に合わせて行われる、メディア向けの展示会場には、いつも興味深い製品を持ち込んでくる。今回の主役もまた、昨年6月に披露された1番の自信作であり、約半年を要して国内市場での販売が開始された。初披露の時点でほぼ完成しているように思えたが(実際に製品版との違いは分からない)、じっくり時間を掛け、販売を開始するスタイルは、Phanteks的に通常のスケジュールなのだろう。
熟成されているだけあって、製品版も非の打ち所がなく、独特な設計思想がカタチになったPhanteksらしさを感じるPCケースだった。手に取る内に、以前”ごみ箱”と揶揄された”あのPCケース”を思い起こさせたが、現在の自作PC事情を加えた、イマドキのPCケースに仕上げられている。グラフィックスカードの搭載向きに賛否は出そうだが、エアフローを考慮したという事情もあるだろう。スタイルを重視した強化ガラスがトレードオフと思えば、目くじら立てるほどではない。
簡易水冷が組み込めるだけに、CPUの冷却に不安はない。必要以上に割かれた拡張カード有効スペースは、どんなハイエンド志向のグラフィックスカードでも搭載できるだろう。ストレージ収納力は及第点で異論はないはずだ。この手の製品で、組み込み易さを評価ポイントにしては気の毒で、自作PCの醍醐味と思えば気にならない。多少のスキルは必要かもしれないが、ちょっと高級なミニPCの入門用としても悪くない。プロモーション動画を見ると、意外に横置きスタイルも似合っている。見慣れたデスクトップPCに飽きたなら、「ENTHOO EVOLV SHIFT」はいかがだろう。
協力:Phanteks
株式会社アイティーシー