エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.642
2018.03.09 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
「X399M Taichi」のメモリスロットは4本に制限されるが、クアッドチャネルに対応するため帯域はATXモデルと同等だ |
Ryzen Threadripperの魅力の1つにクアッドチャネルによる広大なメモリ帯域がある。そこで、今回は実際にどの程度メモリ帯域を確保できているのか「Sandra 2017」を使い確認していこう。メモリクロックは2,133MHz、2,400MHz、2,666MHzの3種で、比較対象として「Fatal1ty X370 Gaming K4」とRyzen 1800XのSocket AM4プラットフォームを用意した。
2,133MHz(左上)、2,400MHz(右上)、2,666MHz(左下)のいずれのクロックでもクアッドチャネル動作に対応。またCommand Rateは遅延の少ない「1T」に設定されていた |
デュアルチャネル動作のRyzen 1800Xとの比較では約1.9倍もの帯域幅を実現。マルチスレッド処理では、メモリ帯域がボトルネックになることが多いことから、クアッドチャネルによるメリットはかなり大きいことがわかる。またメモリクロックの効果を確認すると2,133MHzと2,666MHzでは約10%スコアが上昇。まずはクアッドチャネル動作のため4枚のメモリを用意することが重要だが、予算の許す限りメモリクロックも高いものをチョイスしたい。
ATXモデルと同等の11フェーズデジタル電源回路と、ヒートパイプ付きの大型ヒートシンクを搭載する「X399M Taichi」。MicroATXモデルとは言え、やはりオーバークロック耐性は気になるところ。そこで今回はコア倍率とコア電圧のみを調整する簡易チューニングを実施。安全圏内で、どこまでクロックを伸ばすことができるのかチェックしてみることにした。
UEFIの「OC Tweaker」で、コア倍率とコア電圧のみ調整。安全圏内でのオーバークロック限界を探ることにした |
コアクロック4.00GHz、コア電圧1.300VならOSの起動はもちろんベンチマークも完走 | なおOSの起動はコアクロック4.10GHz、コア電圧1.300Vまで可能だった |
電圧を定格から+0.175Vの1.300Vに引き上げることで、コア倍率40倍(コアクロック4.00GHz)まではOSの起動だけでなくベンチマークも完走。しかし、これ以上のクロックでは急激に電圧の要求が増え、4.025GHzでは電圧を1.450Vに上げてもベンチマーク中にフリーズしてしまう。今回は安全圏内のチューニングということで4.00GHz達成で締めることにした。なおOSの起動だけなら4.10GHzでも可能だったことを付け加えておく。
続いて「CINEBENCH R15」のスコアを確認すると、定格でもマルチコアは2,922cb、オーバークロック時は約15%アップの3,366cbで、メインストリーム向けCPUとは一線を画す性能。動画エンコードや高解像度の画像処理など、マルチスレッドに最適化されたアプリケーションでは特に力を発揮してくれることだろう。なおシングルコアのスコアがほとんど変わらないのは、定格時でもXFR機能により4.00GHzを超えるクロックで動作するため。シングルスレッド性能を重視するなら、特にオーバークロックをする必要はないだろう。