エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.642
2018.03.09 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後にオーバークロックによってどの程度消費電力が増加するか確認しておこう。計測は「CINEBENCH R15」実行時における最も高い数値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の最低値をアイドル時に設定している。
180WとされるTDPは伊達ではなく、ほぼCPUのみに負荷がかかる「CINEBENCH R15」でも定格駆動で275.8Wまで消費電力は上昇。さらにオーバークロック時は約90W増の365.3Wを記録し、Ryzen Threadripperでオーバークロックをする場合には「X399M Taichi」のような堅牢かつ大容量な電源回路は必須。また水冷ユニットを前提としていることから、電源回路の冷却にも十分気を配る必要がある。
今回は、世界初のRyzen Threadripper対応MicroATXマザーボードASRock「X399M Taichi」の検証を進めてきた。コンシューマ向けでは最大級のCPUソケット「Socket TR4」を収める関係で、メモリスロットが一般的な8本から4本に削減されているのは正直残念なところ。
しかし、クアッドチャネルによる広大なメモリ帯域はシッカリと確保。さらにRyzen Threadripperのオーバークロックを許容する堅牢な電源回路や、フルレーンのマルチグラフィックス、最大3台のNVMe SSDによるRAID機能など、パフォーマンスに直結する部分はATXフォームファクタの上位モデルと比べてもまったく遜色ない。実際の運用で影響を感じるのは、超大容量メモリ環境が必要になる一部のヘビーユーザーだけだろう。
さらにハイエンドプラットフォームでは、プレミア価格がつきがちなコンパクトモデルにもかかわらず「X399 Taichi」とほぼ同等の価格を実現した「X399M Taichi」は、“同クラスで最高のコストパフォーマンスモデル”を目指す「Taichi」シリーズの名に恥じない至高のMicroATXマザーボードだ。
協力:ASRock Incorporation