エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.652
2018.04.19 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
AMD「Ryzen 7 2700X」市場想定売価税抜37,980円前後(2018年4月19日発売) AMD「Ryzen 5 2600X」市場想定売価税抜25,980円前後(2018年4月19日発売) |
約1年ぶりに更新されたAMDの新メインストリーム向けCPU第2世代Ryzenシリーズ。コアマイクロアーキテクチャは、製造プロセスをGLOBALFOUNDRIESの14nmLPPから12nmLPへと微細化した「Zen+」を採用。同クロックの消費電力は最大11%低減しており、最大クロック(ブーストクロック)は4.00GHzから4.30GHzへと300MHz引き上げられている。
「Zen」マクロアーキテクチャと比較すると、同クロックの消費電力は最大11%低減、電力効率は最大16%向上している |
また内部設計の最適化により、レイテンシはL1キャッシュが13%、L2キャッシュが34%、L3キャッシュが16%、DRAMが11%改善。「Excavator」から53%もIPC(Instructions Per Clock:クロックあたりの性能)が向上した「Zen」から、さらに約3%性能が向上しているという。
4つのCPUコアなどを内蔵する「CPU COMPLEX」の構成自体には大きな変更はない |
一方、基本構造には大きな変更はなく、プロセッサには4基のCPUコアと各512KBのL2キャッシュ、さらに共有のL3キャッシュをまとめたCPUモジュール「CPU Complex」(以下:「CCX」)を2基内蔵。ただし、メモリコントローラはDDR4-2666からDDR4-2933へ、さらにクロック調整機能も最新世代の「Precision Boost 2」へとアップグレード。複数のコアが動作している場合でも高クロック状態をより長く維持することで、マルチスレッド性能を高めているワケだ。
「Precision Boost 2」では、複数のコアが動作中でも高クロック状態を長く維持することができる |
製品ラインナップは「Ryzen 7 2700X」(8コア/16スレッド/定格3.70GHz/ブースト最大4.30GHz)を筆頭に、「Ryzen 7 2700」(8コア/16スレッド/定格3.20GHz/ブースト最大4.10GHz)、「Ryzen 5 2600X」(6コア/12スレッド/定格3.60GHz/ブースト最大4.20GHz)、「Ryzen 5 2600」(6コア/12スレッド/定格3.40GHz/ブースト最大3.90GHz)の計4モデル。いずれもダイサイズは213m㎡、トランジスタ数は最高48億個で、プラットフォームはSocket AM4に対応する。
TDPは末尾に「X」のつかない無印が65W、Ryzen 5 2600Xが95Wに設定され、この3モデルについては先代と同様。ただし最上位のRyzen 7 2700Xについては105Wに設定されており、クロック上昇分をプロセスの微細化や内部設計の最適化で吸収できていない点は少々気になる。実際の消費電力にどの程度影響があるのかは、後半のテストセッションで明らかにしていきたい。
第2世代Ryzenシリーズ第1弾は計4モデル。市場想定売価は最上位「Ryzen 7 2700X」でも税抜329ドル(北米価格)/税抜37,980円(国内価格)で、「Ryzen 7 1800」登場時の価格(税抜499ドル)よりも170ドルも安い。対抗となるCoffee Lakeと比較しても十分競争力のある価格設定だ |
なおチップセットは従来のAMD 300シリーズでもBIOSのアップデートのみで利用可能。さらに最新ストレージ技術「AMD StoreMI Technology」など新機能を追加したAMD X470チップが同時にリリースされ、ASRock、ASUS、GIGABYTEなど各社から採用マザーボードの販売がスタートする。
第2世代Ryzenと同時リリースされたAMD X470チップ。HDD、SSD、メモリを統合して高速化する新ストレージ技術「AMD StoreMI Technology」に標準対応する |