エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.657
2018.05.09 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後に定番のCGレンダリングベンチマークテスト「CINEBENCH R15」を使い、Ryzen 7 2700/Ryzen 5 2600のCPU性能と消費電力を確認しておこう。なお比較対象には、先日詳細レビューをお届けしたRyzen 7 2700X/Ryzen 5 2600Xのスコアを流用している。DDR4メモリ以外はまったく同じ環境を使用しているため、性能や消費電力への影響はほとんどないだろう。
まず「CINEBENCH R15」の結果を確認すると、Ryzen 5 2600XとRyzen 5 2600ではベースクロックの差が200MHzしかないため、約10%とそれほど大きな違いは出なかった。ただし、Ryzen 7 2700XとRyzen 7 2700ではベースクロックが500MHzも違うことから、マルチコアテストで約20%とかなり大きな差がついている。
続いて、消費電力を比較するとアイドル時は省電力機能が有効に働くためいずれも約50Wで横並び。一方、高負荷時はTDP 95WのRyzen 5 2600Xが約180W、TDP 105WのRyzen 7 2700Xでは約210Wまで上がったのに対して、無印モデルは130W前後で頭打ち。このことからとにかく性能を重視するなら「X」シリーズを、ワットパフォーマンスや省電力性を重視するなら無印がオススメだ。なお今回の検証ではRyzen 7 2700とRyzen 5 2600の消費電力が逆転しているが、5回計測していずれもスコアに違いはなかったため、おそらく個体差によるものと思われる。
今回はAMD X470の注目機能「AMD StoreMI」を中心に検証を進めてきた。「FuzeDrive for Ryzen Plus」の機能限定版ということもあり、SSDの容量が256GBまで、DRAMキャッシュも2GBまでという制限はあるもののベンチマークテストでは、ほぼSSD単体に準ずるパフォーマンスを発揮。そして低速のHDDを使用しているとは言え、OSの起動は1/3に、ゲームのロード時間も1/2以下に短縮され、無償の機能ながらその効果は非常に大きい。
これまでメインストリーム向けプラットフォームのストレージ機能では、ストレージキャッシュ「Rapid Storage Technology」やNVMe RAIDに対応するIntelのほうが有利だったが、「AMD StoreMI」の導入によりキャッシュ機能については完全に優位に立った。AMDには残るNVMe RAID機能についても早急なアップデートに期待したい。
第2世代Ryzenでは今のところRyzen 7 2700Xが圧倒的に人気とのことだが、ワットパフォーマンスを考えると、大幅に消費電力を抑えられる無印の2モデルも魅力的な存在だ |
また今回のテストで使用した無印の第2世代Ryzenに目を向けると、高負荷時でも消費電力は130W前後に抑えられ、TDP 65Wらしい省電力性は大いに魅力。特に8コア/16スレッドに対応するRyzen 7 2700は、ワットパフォーマンスにこだわるなら現時点で最良の選択肢となるだろう。
協力:日本AMD株式会社