エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.660
2018.05.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ここからはメモリクロックによって、どの程度パフォーマンスに影響があるのかベンチマークテストで検証していこう。まずは「Sandra 2017」の「メモリの帯域」と「メモリのレイテンシ」のスコアをチェックする。
メモリ帯域を確認すると「整数メモリ帯域」「浮動小数点メモリ帯域」ともほぼクロック通り約12%スコアがアップし、帯域幅への影響はかなり大きいことがわかる。また2,666MHzと3,000MHzでは同じタイミング設定にもかかわらずレイテンシも約7%向上した。
続いて「CINEBENCH R15」を使い、メモリクロックによるCPU性能と消費電力の影響を確認していこう。
シングルコアテストは1cbしかスコアに違いがなく誤差の範囲。一方マルチコアテストでは約2%と若干だがスコアに差がついており、マルチスレッド対応アプリケーションや複数の処理を同時に行う事が多い場合には、高クロックメモリを選択したい。また消費電力を確認するとその差は最大でも1.2Wとごくわずか。省電力を追求したPCでなければ、特に気にする必要はないだろう。
Coffee Lake環境におけるテストセッションの最後は、ヒートスプレッダによる冷却効果を確認していこう。今回は比較対象として、ヒートスプレッダ非搭載のCrucial「W4U2666CM-8G」(8GB×2/DDR4-2666/CL19)を用意し、テストはメモリ2枚構成で実施。高負荷時は「OCCT 4.5.2 CPU:OCCT」を動作させ30分経過した時点での数値を、アイドル時は起動直後10分放置した際の数値を採用した。なお温度の計測は「Ballistix Tactical Tracer RGB」シリーズは「Ballistix M.O.D.」で、Crucial「W4U2666CM-8G」はメモリセンサーが無いため非接触型温度計を使い、中央に近いメモリチップの表面温度を計測した。測定条件が異なるため横並びの比較にはならないが、おおよその傾向は掴むことができるだろう。
「BLT4K8G4D26BFK4K」(2,666MHz)、アイドル時のサーモグラフィー結果 | 「BLT4K8G4D26BFK4K」(2,666MHz)、高負荷時のサーモグラフィー結果 |
「BLT2K8G4D30BET4K」(3,000MHz)、アイドル時のサーモグラフィー結果 | 「BLT2K8G4D30BET4K」(3,000MHz)、高負荷時のサーモグラフィー結果 |
「W4U2666CM-8G」(2,666MHz)、アイドル時のサーモグラフィー結果 | 「W4U2666CM-8G」(2,666MHz)、高負荷時のサーモグラフィー結果 |
まず「Ballistix Tactical Tracer RGB」とCrucial「W4U2666CM-8G」を比較するとアイドル時、高負荷時ともその差は1.0℃未満。測定方法が異なることもあり、結果は参考程度に留める必要はあるが、もともとの温度がそれほど高くないこともあり、ヒートスプレッダによる劇的な効果はないようだ。また「BLT4K8G4D26BFK4K」(2,666MHz)と「BLT2K8G4D30BET4K」(3,000MHz)との比較でも温度に有意な差は見られなかった。
Ballistixのホームページには、DDR3やDDR4世代ではメモリの駆動電圧が大幅に低下していることから、高クロックメモリでも発熱は少なく、ヒートスプレッダは基板・メモリICの保護やドレスアップの意味合いが大きいとしているが、実際の測定結果からもこのことが正しいことが証明されたワケだ。