エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.665
2018.06.28 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
最後にCore i7-8700KとCeleron G4900Tによる性能と消費電力の違いについて確認していこう。なお消費電力についてはアイドル時が起動直後10分間放置した際の数値を、高負荷時が「CINEBENCH R15」動作時の最高値をそれぞれ採用している。
まず定番レンダリングベンチマーク「CINEBENCH R15」のスコアを確認すると、マルチコアについては6コア/12スレッドに対応するCore i7-8700Kが6倍以上の差をつけて圧倒している。CeleronやPentiumシリーズなどでもより高クロックの製品が用意されているが、若干のクロックの違いで埋まる差ではなく、マルチスレッドに対応した重量級の処理を行う場合には素直に4コアや6コアのCPUをチョイスしたほうがいいだろう。
一方、シングルコア性能については約1.7倍で、Turbo Boost時のクロック差にほぼ準じたスコア。オフィスアプリケーションのようなあまりマルチスレッド処理に最適化されていないソフトであれば、コア数ではなくクロックを重視した製品選びで問題ない。
続いて消費電力を確認していこう。まずアイドル時の数値だが、こちらは省電力機能によりクロック、電圧とも引き下げられるため20W前半でほぼ同じ。しかし高負荷時についてはCore i7-8700Kの144.8Wに対して、Celeron G4900Tは34.2Wと大きな差がついた。特にCeleron G4900Tの省電力性能は優秀で、常時起動や静音性を重視したPCなどにオススメだ。
また両者の差が約110Wあることから、Coffee LakeのハイエンドモデルはCPU単体で消費電力が100Wを大きく上回るのは明らか。定格での運用でも「H370 Pro4」のような電源回路のしっかりとした製品を選びたい。
今回はIntel H370チップモデルでは最安クラスとなるASRock「H370 Pro」の検証を進めてきた。コストを重視した製品だけにRGB LEDライティング機能「Polychrome RGB」や「PCI-E Steel Slot」など、ゲーマー向けを中心に省略されている機能は確かにある。しかし、消費電力の大きいCoffee Lakeの安定動作を可能にする10フェーズの電源回路や「POOLテクノロジー」を採用するDDR4メモリスロット、「Super Alloy」準拠のコンポーネントなど、品質に関わる部分には妥協は見られない。
さらに同チップセットでは珍しい、2基の「Ultra M.2」をはじめ、Type-A/Type-CのUSB3.1 Gen.2ポートや定評のあるIntel製ギガビットLAN、さらにはCNVi対応のM.2スロットを備えるなど、優れた拡張性もこの製品の大きな魅力だ。
コスト重視モデルながら高い拡張性と、安定性・信頼性を兼ね備えた「H370 Pro」。一部のハイエンドユーザーを除けば、実際の運用で不満を感じることはないだろう |
とかくコストを重視したモデルというと、安定性や品質、拡張性が犠牲になりがちだが「H370 Pro4」ではPCの根幹となる機能や、コンポーネントの品質を下げることなく機能を厳選して可能な限りの低価格化を実現。まさに「同クラス最高のコストパフォーマンスを追求する」というASRockの製品コンセプトを体現した秀作モデルに仕上げられている。
協力:ASRock Incorporation