エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.680
2018.08.25 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
組み込みセッションの最後に、オールインワン型水冷ユニットを搭載してみよう。Antec「P5」にはフロントに最大240mmサイズ、リアに120mmサイズのラジエターが搭載できる。そこで搭載テストには7月に販売が開始された、240mmサイズラジエターを搭載するAntec「Mercury240 RGB」を選んだ。
このPCケースは密閉型サイドパネルが採用されている。ウォーターブロックとラジエター搭載ファンが発光する製品のチョイスに違和感を覚えるかもしれない。確かにイルミネーションを楽しむコンセプトではないが、せっかくの自作PC。多少の遊び心があってもいいだろう。開閉ドアをオープン状態にすると、通気孔からフロント120mm口径ファンのLED発光がチラ見できる。外観はシンプルないかにも静音志向のPCだが、内部はパワフルでアグレッシブな仕様というギャップも所有欲をかき立てる。常時派手なPCが苦手という人にはほどよい楽しみ方ではないだろうか。
フロント標準搭載ファンを取り外し、240mmサイズラジエターを固定。PTFEチューブ(長さ約350mm)はポンプ一体型ウォーターブロックを最短で結び、収まりもいい。なおラジエターはドアを開き、二層構造のフィルタを取り外した状態でネジ留めができる。フロントパネルを外すといった手間がない |
ちなみにCPUクーラーメンテナンスホールからウォーターブロック固定用バックプレートが全て露出できなかったため、一旦マザーボードを取り外さなければならなかった | 搭載テストではフロントパネルとラジエターの間に冷却ファンを固定。内部に風を送るエアフローレイアウトとした |
現在の自作PC市場はLEDイルミネーションと強化ガラスによる「装飾」が主役だ。しかし「P5」はいずれにも無縁で、「Performance」シリーズの歴代モデルを継承する「静音」を主たるコンセプトに据え、言わば自作PCケースの王道を行くミニタワーに仕上げられた。
しかしそれは決してレトロ趣味というわけではない。内部構造は実に整然としており、どの構成パーツにとっても快適な居住空間を提供。互いに干渉する事なく上手に収められている。そしてきちんと確保された奥行きにより、組み込みのし易さも評価ポイントとして挙げておきたい。
初披露の場で担当者から聞いた「日本市場に向くのではないか」とのコメントはまさにそれで、税抜7,000円台の価格設定は、適正よりも低く感じてしまう。そして明確なコンセプトの元、歴代の設計思想を継承した「P5」には、流行に左右されない「Performance」シリーズの信念を感じた。
協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル