エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.681
2018.08.29 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
2基あるM.2スロットの性能を確認したところで、続いてNVMe RAIDによる高速化とAMD 400シリーズで追加された高速化技術「StoreMI」について試していこう。
2枚のM.2 NVMe SSDを使いRAID 0環境を構築してパフォーマンスを検証する |
まずはSamsung「960 EVO」の250GBモデルをシステムに追加して、RAID 0のパフォーマンスをチェックしていこう。
2基のM.2スロットは帯域幅が異なるもののRAIDの構築が可能だ |
シングルドライブ時の「CrystalDiskMark 6.0.1」 | RAID 0構築時の「CrystalDiskMark 6.0.1」 |
PCI-Express3.0(x2)スロットの帯域幅がボトルネックとなるため、約3,200MB/secでスコアは頭打ち。またランダムアクセスでは一部性能が低下しているものもあるなど万能ではないが、シーケンシャル書込や4KiB Q8T8書込では約2倍にスコアがアップし、ハマればかなり効果は大きい。個人的にはIntel 600pシリーズのような、エントリークラスのSSDとの組み合わせがオススメだ。
「StoreMI」のソフトウェアは原稿執筆時点の最新バージョン「1.3.4」を使用した |
続いて、AMD 400シリーズのマザーボードなら無償で使える「StoreMI」機能を試していこう。なお本項のテストでは、起動ドライブには容量128GBのPLEXTOR「PX-128M3P」を、M.2 NVMe SSDにはPCI-Express3.0(x4)スロットに搭載したSamsung「SM951-NVMe」シリーズの256GBモデルをそれぞれ使用している。
「StoreMI」の使い方は、インストーラーをAMDのサイトからダウンロードし、ウィザードに従ってインストールおよび設定を行うだけ。ステップバイステップで進められる簡単設計のため、初心者でも特に戸惑うことはないだろう |
PLEXTOR「PX-128M3P」単体 | 「StoreMI」構築後1回目のベンチマーク |
「StoreMI」構築後2回目のベンチマーク | 「StoreMI」構築後3回目のベンチマーク |
「StoreMI」では、頻繁にアクセスするデータをインテリジェントに判断してストアするドライブを決めているため、最適化が進むまで効果が出にくいという欠点がある。事実、今回のテストではベンチマークを3回実行するまで、そのパフォーマンスを最大限に発揮させることができなかった。一方で、RAIDのようなストレージモードの変更(AHIC→RAID)は不要。さらにソフトウェアのインストールや設定もウィザードによるステップバイステップ方式のため、完成しているシステムでも簡単かつ低コストで導入できるのは大きな魅力だ。
AMD謹製チューニングツール「RYZEN MASTER」を使い、手動オーバークロックを試してみることにした |
テストセッションのラストは、Ryzen専用チューニングツール「RYZEN MASTER」を使い、全コア4.00Hzを目指したオーバークロックを試してみることにした。今回は「CPU Voltages」と「Core Speed」のみを調整する簡易的なチューニングだが、「CPU Voltage」を1.2375Vまで引き上げることで、無事4.00GHz動作を達成することができた。
こちらは定格時のシステムの状態。ターボ機能により、マルチコア動作時はおおむね3.675GHz~3.700GHzで動作する |
その状態でCPUベンチマーク「CINEBENCH R15」を動作させたところ、シングルコアテストは約4%、マルチコアテストでは約9%スコアが上昇した。比較的ライトなオーバークロックということもあり、テスト中に不安定な挙動を示すこともなく、あと一歩性能を引き上げたい時には有効な手段になるだろう。
続いて消費電力の違いを確認していこう。アイドル時は約7Wと微増、高負荷時でも約45Wで、堅牢な電源回路を備える「B450 AORUS PRO WIFI」にとっては特に問題のレベルだ。ただし、リテールクーラーの冷却性能は限界に近く、ファンが100%で回転しているにもかかわらず温度は78℃まで上昇した。これ以上のオーバークロックを狙うなら、CPUクーラーの換装を検討する必要がある。
AMD B450がもともと普及価格帯を想定したチップセットということもあり、製品ラインナップの大半がコストを重視した製品が占めている。もちろんそういったモデルでも必要最低限の機能はクリアしているため、特にこだわりがないなら大きな問題にならないだろう。
しかし、定評のあるIntelチップによるギガビットLANや、同じくIntelチップによるIEEE 802.11ac/a/b/g/n無線LAN + Bluetooth機能、ハイエンドICとスタジオグレードの音響コンデンサを組み合わせた高品位オーディオ回路など、搭載コンポーネントにまでこだわった製品を求めるなら、現状「B450 AORUS PRO WIFI」がほぼ唯一の選択肢だ。
AMD B450チップを採用しつつ、ハイエンドに匹敵する機能と品質を実現したGIGABYTE「B450 AORUS PRO WIFI」。1週間以上にわたってじっくりと検証してみたが正直なところ大きな欠点は見当たらない |
さらにサーマルスロットリングを防止する高冷却仕様のM.2ヒートシンクや、堅牢性と扱いやすさを両立した「一体型I/Oバックパネル」、豊富なライティングパターンが楽しめるアドレサブルRGB LED機能「RGB Fusion」など、GIGABYTE独自機能についてはAMD X470チップ搭載のハイエンドモデルと比較してもまったく遜色ない。
チップセット自体の違いもSLIの対応と、インターフェイス数のみとごくわずか。高性能かつ高機能なPCを価格を抑えて組み上げたいなら「B450 AORUS PRO WIFI」は最良のパートナーになる1枚だ。
協力:日本ギガバイト株式会社