エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.682
2018.09.06 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
「AS4000T」シリーズでは、10ギガビットLANと2ポートのギガビットLANを組み合わせた「リンクアグリゲーション」をサポートする。使用するには対応するスイッチや、2ポート以上のネットワークポートが必要になるため導入の敷居はやや高いが、耐障害性や性能を改善できる便利な機能だ。
今回は耐障害性と負荷分散の2つの機能を両立できる「XOR(Balance XOR)」を2基のギガビットLANポートで構築 |
なおリンクアグリゲーションには大きく分けて、障害や故障時でも動作を継続できるようにする「フォールトトレランス」(Active-BackupやBroadcast)、性能向上を目的にする「IEEE802.3ad」(LACPサポートのスイッチ)、耐障害性と負荷分散をする「ロードバランス」(Round RobinやXOR)の3種類のモードがあるが、今回は「LACP」対応スイッチが必要ない負荷分散設定「XOR(Balance XOR)」を使用することにした。
PCでは2ポートのギガビットLANをチーム化しているため、速度は1.0Gbps×2を束ねた2.0Gbpsで認識される | ギガビットイーサネットスイッチNETGEAR「GS808E-100JPS」側でも、束ねるポートを設定する必要がある |
「XOR(Balance XOR)」は、障害耐性の向上と負荷分散が目的のため、最大転送速度には影響がない |
テストPCとは異なるPCから「AS4004T」の共有フォルダーにアクセスしつつ、テストPCから「AS4004T」に100GBを超えるファイルのコピーを実行したところ、リンクアグリゲーションを構成していない状態では、転送速度が50MB/sec前後まで落ち込むのに対して、リンクアグリゲーションを構築すると負荷分散機能によって、おおむね100MB/sec台の転送速度を維持することができるようになった。
リンクアグリゲーション構築時。ところによって転送速度が70~80MB/secに落ちることもあるが、おおむね100MB/sec台を維持することができる | リンクアグリゲーション未構築時。別のPCからアクセスが発生すると転送速度は50MB/sec台まで落ち込む |
10ギガビットLANの理論最大値に迫る最高1,120MB/secの高速データ転送を実現した「AS4004T」。「CrystalDiskMark」の結果を見るとすべての処理で明らかな効果があるわけではないが、実作業に準じるファイルコピー時間も大幅に短縮され、ネットワーク経由であることを感じさせないそのスピードは正直感動ものだった。
またスマートフォンとの連携を強化した多機能OS「ADM」や、複数のネットワークをまとめるリンクアグリゲーションなど機能も豊富。さらに最大4台のドライブを搭載できる「AS4004T」なら、障害耐性に加え、読込速度を高速化できるRAID 5/6や、ミラーリングとストライピングを組み合わせて高速化と冗長性を両立するRAID 10が利用でき、10ギガビットLANの高速性を活かしつつ、安全性も担保することができる。
今回の検証ではSSDを使用しているが、最新HDDであればシーケンシャルは200MB/sec前後とかなり高速。速度向上のないSingle/JBOD/RAID 1でも10ギガビットLANによる高速なファイルアクセスの恩恵を受けられるだろう |
それでいて価格は10ギガビットLANでは最安クラスとなる4万円台半ばで購入できる「AS4004T」は、これからさらなる普及が見込める10ギガビットLANの第一歩として魅力的な存在だ。
協力:ASUSTOR
Seagate