エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.686
2018.09.28 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
組み込みセッションの最後に、簡易水冷ユニットの搭載を試みた。搭載テストにはThermaltake「Floe Riing RGB 240 TT Premium Edition」(型番:CL-W157-PL12SW-A)を用意。120mm口径ファン2基を並べて搭載する240mmサイズラジエター採用のRGB LEDイルミネーションギミック付きオールインワンモデルだ。
ここまでの作業を振り返り、現時点で分かった事は組み込みのし易さ。「Level 20 VT」の大きなアピールポイントになるだろう。それはラジエターの搭載作業でも感じられ、着脱式「ファン&ラジエターブラケット」をワンタッチで取り外し、作業のし易いスペースで組み込みができる。組み込みの邪魔になる、ラジエターに接続されたポンプ一体型ウォーターブロックの存在も気にならない。搭載ファンの数に比例して煩雑になるネジ留めも、ストレスなく作業ができた。
「ファン&ラジエターブラケット」が取り外せる点は大きなメリット。重量のあるウォーターブロックをあちこちにぶつけるといった心配はない |
ポンプ一体型ウォーターブロックはラジエターとの距離が近いため、ウォーターチューブに掛かる負担も最小限。ストレスの無い取り回しができる |
さらに「ファン&ラジエターブラケット」は右サイドパネル側に移動ができる。出荷時より固定されるトップ部同様、右側面にもスリットと「ファン&ラジエターブラケット」を固定する穴が備わり、冷却ファン単体またはラジエターを右横に設置する事ができるのだ。
「Floe Riing RGB 240 TT Premium Edition」の240mmサイズラジエターを右サイドパネル側に設置。4mm厚強化ガラスが接近しているため、エアフローが気になる所だが、限られた筐体内部を上手く利用したフリーレイアウトはセンスの良さを感じさせる |
近頃のPCケースと言えば、強化ガラスとLEDイルミネーションの組み合わせが決まり事のようになっている。完成型メーカー製PCではとうていかなわないドレスアップは、自作PCならではの特権であり、最大の醍醐味だ。とは言え、新製品はどれも似たようなスタイルになりがちである点は否めない。自由に曲げたり複雑な立体に加工できない”ただの平面”であるガラス素材の弱点は、個性の出しにくさにある。
そんな強化ガラスを4面に使いながらも「Level 20 VT」は、実に個性的で久し振りに組み込む過程が楽しいPCケースだった。ベースとなる「Core V21」(型番:CA-1D5-00S1WN-00)の出来の良さが最大の要因だが、水平に設置されたMicroATX規格のマザーボードに、このPCケースの楽しさが紐付いていく。
グラフィックスカードはライザーケーブル不要で垂直レイアウトになり、左サイドパネルにVGAクーラーが正対。映像を出力するだけの役割に留まらない存在感を引き出した。右サイドパネル側に目を移せば、お気に入りのSSDの銘柄は常に露出。CPUクーラーは製品サイトで見たままの姿勢で稼働状態が”鑑賞”できる。水冷構成なら、ラジエターがトップパネルまたは右サイドパネル側に露出した状態で設置できるため、元来の機械好きな読者には魅力的に映るに違いない。
個性の出しにくさを見事に克服した「Level 20 VT」。Cube型MicroATX筐体として、完成度はかなり高く、Thermaltake創立20周年のアニバーサリーモデルとして、十分にその役割を果たしていると感じた。
協力:Thermaltake Technology
株式会社アスク