エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.688
2018.10.19 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
テストセッションの締めくくりに、ベンチマーク中におけるシステムの消費電力を比較してみよう。「CINEBENCH R15」実行時の最大値を“高負荷時”、起動後に10分間放置した際の数値を“アイドル時”に設定。ワットチェッカーを使用し、それぞれの消費電力を計測した。
さすがに「ECO」はどちらの環境でも消費電力が低く抑えられており、簡易チューニングの効果がよく現れている。省電力志向かつローパワーで十分なタスクが中心であれば、迷わず「ECO」に設定したいところだ。その一方で「OC」の場合は、常時ではないものの最大で定格から50W近く上昇するシーンがあり、やはり消費電力の面では不利になる。「OC」設定での運用を考えるのであれば、クーラーの冷却能力にも多少の余裕をもたせておきたい。
Intelのメインストリーム向け初の8コアCPUである「Core i9-9900K」が注目を集める一方で、劇的な性能向上に繋がる変更がなく、Intel Z390にはマイナーチェンジのイメージしか持っていなかった。ところが実際に搭載マザーボードのハイエンドモデルとして投入された「Z390 AORUS MASTER」は、思った以上の進化を遂げている。特に際立っているのが、GIGABYTEが謳う“Core i9の全コア5GHz超え+安定動作”を支える鉄壁の信頼性だ。
余裕をもたせた12+2フェーズものデジタル電源回路、そしてオーバークロックを想定した8pin×2系統の補助電源により、フェーズごとの負荷と発熱を抑える設計は、高負荷環境におけるシステム全体の安定性に大きく寄与する。そこへ大幅に冷却性能を向上させた新設計のヒートシンク、見た目にも頼もしい放熱用のバックプレートを組み合わせるなど、冷却面でも抜かりなし。「Core i9-9900K」をはじめ、Intel Core 9000シリーズのポテンシャルをフルに発揮させる、最も重要な要素が揃っている。
もちろんそうした目に見えにくい部分だけでなく、搭載機能もしっかりレベルアップ。「Z390 AORUS MASTER」は前世代における「Z370 AORUS Gaming 7」と同ランクに位置付けられるモデルだが、トリプルスロットを備えるM.2すべてに「M.2 Thermal Guard」を装備するなど、惜しかった部分がしっかりリカバーされている。CNVi対応の無線LANや多数のUSB3.1 Gen2ポートといった、Intel Z390ならではの補強も合わせ、さらに完成度が高まった印象だ。Intel Core 9000シリーズで妥協のないマシンを組むなら、見逃せない1枚になるだろう。
協力:日本ギガバイト株式会社