エルミタ的一点突破 Vol.48
2018.11.13 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕/池西 樹(テストセッション)
消費電力が30W台に抑えられるアイドル時は、冷却性能が完全に飽和しており、定格、4.80GHzとも回転数は700rpm前後で推移。また高負荷時でも定格では、おおむね1,450rpmで推移しており、まだ余力を感じさせる。一方、温度が81℃まで上がった4.80GHzでは、2,000rpm前後で推移。突発的には、ほぼ最高回転となる2,278rpmまで上がることもあり、限界に近い動作をしていることがわかる。
次にファンから30cmの位置に設置したデジタル騒音計を使い、ファンのノイズを計測していこう。
アイドル時は、いずれも暗騒音から+約3dBAの36dBA後半で、バラック状態でのテストにもかかわらずまったくノイズは感じられなかった。また高負荷時でも、定格では一度も40dBAを超えることはなく、静音性は良好だ。ただし、4.80GHzでは+7.1dBAの43.8dBAまで上昇し、定格との違いは明らか。とはいえ、耳障りで我慢できないほどではなく、PCケースに入れてデスクの下に設置してしまえば、気になることはないだろう。
最後に非接触型デジタル温度計とサーモグラフィを使い、定格時のポイント別温度を確認していこう。
「KATANA 5」ポイント別温度計測結果 |
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
ポイント別温度は、CPUに接触している受熱ベース部が52.4℃で最高。そして熱源から離れるに従って、徐々に温度が下がる予想通りの結果。またサーモグラフィからは、受熱ベースで吸収した熱がヒートパイプを伝い、ヒートシンクへと拡散している様子が見て取れる。
久し振りに手にしたサイズのオリジナルCPUクーラー。既存ラインナップと共通する部分が多い「KATANA 5」は、サイズ製品のそれとすぐに分かる。製品自体は相変わらずの工作精度で、売価を感じさせない仕上がりの良さも従来通り。サーモグラフィ画像から、受熱ベースが吸い上げた熱をヒートパイプが移動させ、鋭利な放熱フィンに拡散する様子が見て取れる。
肝心の冷却性能はここで振り返るまでもなく、数値が表す通り。恐らく定格運用が主たるターゲットになるはずだが、その要望に十分応えることができるだろう。静音性も申し分ない。
すっかり忘れていたが、「KATANA 5」の全高は135mmで、搭載ファンは92mm口径だ。激しい使い方をしなければ、コレでいいじゃないかと思えてしまう。
協力:株式会社サイズ