エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.697
2018.11.16 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
最大8コア/16スレッドに対応する「Core i9-9900K」は、Turbo Boost時の最大クロックも5.0GHzに達する。ただし最大クロックで動作するのは1コアのみのため、全コアが額面上のクロックで動作しているわけではない。
そこで今回は、全コアの動作クロックを設定値に固定する「UEFI BIOS」の「CPU Profile」設定を使用し、お手軽なパフォーマンスアップを狙ってみた。比較的余裕の少ないMini-ITXモデルとあって、クロックは無理のない範囲の「4.9GHz」と「4.8GHz」に設定。定格動作と合わせてベンチマークテストでスコアを比較する。
「CPU Profile」にて、全コアの最大クロックを固定する。今回は「4.9GHz」と「4.8GHz」に設定した |
「CPU-Z」で簡易チューニング時の挙動をチェック。それぞれ高負荷時は設定値の4.9GHzと4.8GHzで動作している。定格より最大クロックは低いものの、全コアが同一クロックで動作しているため、全体的な性能向上が見込める |
レンダリング系ベンチマークテストの定番である「CINEBENCH R15」のスコアを見ていこう。さすがに全コアが最大クロック付近まで一律で上昇するだけのことはあり、「4.9GHz」では定格から5%ほどのパフォーマンスアップが確認できた。手間いらずの簡易チューニングの成果としては十分だろう。
続いて「CINEBENCH R15」動作時の温度をチェックする。もとより「Core i9-9900K」は発熱の大きなモデルとあって、定格でも高負荷時には88℃に達している。「4.9GHz」動作時には約10℃アップで100℃近くに迫っており、パフォーマンスアップには相応の発熱上昇を伴うことが分かった。
一方で電源周りの温度を見てみると、電力効率を重視する設計から、小さめのヒートシンクでも定格動作では73℃と健闘している。クロックを引き上げると90℃を超えているが、今回テストに使用したクーラーがオールインワン水冷である点には留意しておきたい。ほぼエアフローが発生しない環境だったため、熱ダレが心配な場合はファンを追加するなど、ある程度の手当で動作環境は大きく改善するハズだ。
最後は動作中の消費電力を比較すると、定格に比べて最大約30Wほど消費電力が増加している。このマザーボードがTDP120Wを謳うモデルであることから、消費電力増は概ね予想通りの範囲に収まった。それほど神経質になる結果ではないものの、つられてアイドル時の消費電力も上がっている点には注意したい。手動のオーバークロックを含め何かしらのチューニングを施す際は、パワーが不要な際は設定を変更するか、多少割り切って使う必要があるだろう。