エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.703
2018.12.20 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
Crucial「P1」シリーズ(発売中) 製品情報(Crucial) CT500P1SSD8(500GB) オープンプライス(2018年10月27日発売) CT1000P1SSD8(1TB) オープンプライス(2018年10月27日発売) |
Crucialブランド初のNVMe M.2 SSDとして、今年10月にデビューした「P1」シリーズ。バリューセグメントに位置づけられる、クライアント向けPCI-Express接続SSDのエントリーモデルで、現在主流のTLCタイプではなく、QLCタイプの3D NANDフラッシュを採用しているのが最大の特徴だ。
今年10月に行われた「メディア向け製品発表会」のスライドによれば、「P1」シリーズの上位に位置づけられるパフォーマンスセグメントの製品は未だ空白のママ |
QLC NANDフラッシュでは、1つのセルに4bit(16通り)のデータを保存できるため、3bit(8通り)のTLC NANDフラッシュに比べてセルあたりの容量は1.33倍に向上。これにより大容量・低価格化が実現できるようになった。その一方で、データのアクセス処理はより複雑化し、転送速度が低下。さらに書き換えサイクル数も大幅に減っており、耐久性が低下するというデメリットもある。
Crucialでは、これらの問題に対応するため、コントローラメーカーと協力して作り上げたという「最適化ファームウェア」や、動的/静的の2種類のSLCキャッシュを組み合わせた「Hybrid Dynamic Write Acceleration」などの独自機能を搭載。またMicron純正の高品質64層3D QLC NANDの採用や、厳しい品質テストを実施することで、担当者曰く「TLC NANDモデルとほとんど変わらない運用ができるようになった」という。
高品質なMicron製64層3D QLC NANDと、ファームウェアの最適化等によって、TLC NANDフラッシュモデルと変わらない運用が可能 |
原稿執筆時点で発売されているのは、500GBと1TBの2モデルで、より大容量な2TBモデルも準備中。コントローラはNVMe 1.3/4chアクセスに対応するSilicon Motion「SMI2263」で、キャッシュ用のDRAMも標準装備する。なお公称転送速度は500GBモデルがシーケンシャル読込1,900MB/sec、書込950MB/sec、ランダム読込90,000 IOPS、書込220,000IOPS。1TBモデルはそれぞれ2,000MB/sec、1,700MB/sec、170,000 IOPS、240,000 IOPSに設定されており、TLC NANDフラッシュを採用する、NVMe SSDのミドルレンジモデルに匹敵するパフォーマンスを発揮する。
また書込耐性は500GBモデルが100TBW(DWPD:54GB)、1TBモデルが200TBW(DWPD:109GB)とされ、こちらもエントリー向けSSDとしては十分。先日詳細検証を行ったTLC NANDフラッシュモデル「BX500」シリーズとの差も20%にとどまり、NANDフラッシュの変更による影響は、公称値を見る限り最小限に抑えられていると言っていいだろう。