エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.703
2018.12.20 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ATTO Disk Benchmark 3.05 |
「ATTO Disk Benchmark 3.05」のスコアを確認すると、読込は最高2,013MB/secで公称値超え。書込も最高1,685MB/secで、公称値に迫る結果。ただし、「CT500P1SSD8」と同じく、8MB以降では読込のスコアが低下し、64MBでは1,725MB/secにとどまる。
高速な転送速度と引き換えに、多くのモデルでコントローラの発熱問題を抱えているNVMe M.2 SSD。Crucial「P1」シリーズでも同様の症状が見られるのか、確認しておこう。計測条件は、ヒートシンクを搭載しないそのままの状態と、ASRock「Z390 Extreme4」に標準装備されているM.2ヒートシンクを搭載した場合の2種類。負荷テストは「CrystalDiskMark 6.0.2」のデータサイズ32GiB、テスト回数9回を3回連続で実施。その温度と転送速度の推移を「HWiNFO64」で測定した。なお「P1」シリーズには、3種類の温度センサーが搭載されていたが、今回はおそらくコントローラと思われる最も温度の高いセンサーの数値を採用している。
ヒートシンク非搭載時の「CrystalDiskMark 6.0.2」スコア | ヒートシンク搭載時の「CrystalDiskMark 6.0.2」スコア |
ヒートシンクなしの状態では、テスト準備のデータ書込からコントローラの温度は一気に上昇し、最高100℃を記録。1回目の読込テストはなんとかクリアするものの、書込テストでは早くもサーマルスロットリングが発生し、パフォーマンスが低下する。ただし、ヒートシンクを搭載すると一気に温度上昇が緩やかになり、温度は75℃前後で頭打ち。サーマルスロットリングも完全に解消され、常に安定したパフォーマンスが発揮できるようになる。
ヒートシンクなし/アイドル時のサーモグラフィー結果 | ヒートシンクなし/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
ヒートシンクあり/アイドル時のサーモグラフィー結果 | ヒートシンクあり/高負荷時のサーモグラフィー結果 |
またサーモグラフィーの結果を確認すると、ヒートシンク非搭載時はアイドル時でも約55℃、高負荷時は85℃前後までコントローラ付近の温度が上昇しており、正直常用はためらわれる結果。SSDの製品寿命を伸ばす上でも、何らかの熱対策はぜひ施したいところだ。
Crucialブランド初のNVMe対応、そして初のQLC NAND採用と、初物づくしのモデルとして登場した「P1」シリーズ。しかし、そこはさすがメモリ専業メーカーのMicronが監修するだけあり、1つ目の懸念材料だった転送速度についてはTLC NANDを採用するミドルレンジモデルに匹敵するパフォーマンスを発揮した。さらに大きくスコアを落とすベンチマークテストもなく、コントローラメーカーと協力して作り上げたというファームウェアは、かなり最適化されているようだ。
2つ目の懸念材料である耐久性については、長期的な運用の結果を待つ必要があるものの、公称値通りであればエントリーモデルとしては十分確保されている。また熱対策については、何らかの処置が必要になるが、これはNVMe M.2 SSD共通の問題。すでに対策方法も確立されており、大きなデメリットにはならない。
これまでSATA3.0(6Gbps)SSDとの価格差から、NVMe M.2 SSDの導入をためらっていた人にとっては、高速かつ安価で、大きな欠点のない「P1」シリーズは魅力的な選択肢になるだろう。また現在空白になっている“パフォーマンスセグメントのNVMe M.2 SSD”の登場についても大いに期待したい。
協力:Crucialブランド
CFD販売株式会社