存在の大きさは自覚しています
- 編集部
世界的に有名になったことで、業界に与える影響も大きくなりました。どのように考えていますか。
- ひよひよ氏
存在の大きさは自覚しています。ソフトウェアの開発で注意しているのは、今風にいえば“忖度”をしないこと。当たり前ですがメーカーごとの最適化もすることはありません。また先程もお話した通り、オープンソースにしていることも公平性という観点では重要だと思っています。
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転送速度が2,000MB/sec台のSSDと、3,000MB/sec台のSSDでは、体感速度に大きな違いはない。ただし、ベンチマークを使うことでその違いを明確にできるところに意義がある
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- 編集部
ひよひよさんにとってのベンチマークとは?
- ひよひよ氏
ベンチマークの存在意義には、新しく購入したパーツが「こんな速くなるのか。買ってよかった」と感動するためという側面があると考えています。そのため「CrystalDiskMark」は、SSDの持つ最高性能を計測できるように設計しました。コンシューマの用途で「32ものキュー深度を使うシーンはあるのか」という声があるのも知っていますが、それを言うのは野暮というもの。最大転送速度3,500MB/secの製品と2,500MB/secの製品では、その違いを体感することは難しいでしょう。でもベンチマークで最高性能を引き出すことで、それが明らかになるわけです。
- 編集部
今後新作ソフトウェアの予定はありますか。
- ひよひよ氏
ここ数年、CPU系のベンチマークを作成したい思っています。「CrystalDiskMark」「CrystalDiskInfo」に続き、多くの人に使ってもらえるようなアプリケーションにできればと思います。
世界基準のソフトウェアと作り上げた最大の原動力とは
「CrystalDiskInfo」「CrystalDiskMark」が、われわれ自作PCユーザーにとって非常に身近な存在である事は言うまでもない。その開発者がプログラムと自作PCをこよなく愛する日本人だということに、どこか誇らしさを感じる。はにかみつつも「個人でここまでこられたという点は自慢していいかな」と話すひよひよ氏。ここに至るまでの紆余曲折を、限られた時間で語ることはどだい無理だろう。
しかし今回のインタビューから、ストレージ系ソフトウェアの「世界基準」を作りあげた最大の原動力が、溢れるばかりの情熱である事を知った。大好きなプログラミングを仕事とせず、敢えて趣味として付き合う距離感が成功の秘訣。今後も時代に合わせて変化しながら、世界中のユーザーから支持され続けていくことだろう。ひよひよ氏のチャレンジに終わりはない。