エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.713
2019.01.22 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ベンチマークテストにおける検証が一段落したところで、続いてテスト中の挙動を冷却面から振り返ってみよう。巨大クーラーの「WINDFORCE Stack 3X」は、高負荷環境ではどのようなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。「3DMark」の「Time Spy Extreme」を30分間ループ動作させた際の数値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として、それぞれのGPU温度とファン回転数を「GPU-Z」で確認した。
結果としては、かなり拍子抜けともいえる内容だ。GPU温度はどちらの環境でもほぼ同一であり、クーラーが想定したターゲットにしっかり抑え込めているという印象。ファン回転数は稼働率が最大でも50%ほど、冷やせる余力を十二分に残しているのが分かる。もはや普通に使うだけでは、「WINDFORCE Stack 3X」のポテンシャルを使い切ることはできないということかもしれない。もっとも、どのような環境でも冷やし切る実力があるということでもあり、多少ムチャなチューニングに挑んでみたいという向きには、これ以上ない装備といえる。
最後は「AORUS RTX 2070 XTREME」を動作させた際の消費電力をチェックし、テストセッションを締めくくろう。ミドルハイクラスの「GeForce RTX 20」シリーズグラフィックスを組み込んだシステムは、どの程度の消費電力をマークするだろうか。上記同様に「Time Spy Extreme」を動作させ、ワットチェッカーを用いて計測を行った。
高負荷時でも最大300W台半ばと、700Wクラスの電源ユニットでも十分な消費電力だ。簡易のオーバークロックによる増加も10W未満と小さく、「AUTO SCAN」を利用した自動チューニングだけなら、消費電力を気にかける必要はなさそうだ。
今回GeForce RTX 2070搭載カードの「AORUS RTX 2070 XTREME」を検証したが、このモデルを単なるミドルハイのグラフィックスととらえることはできない。9万円半ばというプレミアムな価格は、下位グレードのRTX 2070製品より、むしろRTX 2080搭載モデルの方に近い。話を進めるにあたり、コストパフォーマンス的な発想は最初に捨て去る必要があるだろう。
この製品をその位置に押し上げている最大の理由は、「AORUS」ブランドのXTREMEシリーズ特有といえる豪華すぎる装備だ。先進的なトリプルファンや3スロットを占有する分厚いヒートシンクから構成される、空冷最高峰の巨大なクーラー。合計12フェーズに増強された堅牢な電源回路、特殊コーティングが施されたオリジナル基板、ゴージャスな全身のイルミネーションなど、どれも一級品揃いだ。
ただし「WINDFORCE Stack 3X」クーラーが圧倒的な余力を残していたように、ごく普通の使い方では実力のすべてを発揮させることは難しい。出荷時からかなりハイレベルなオーバークロックが施されたモデルながら、さらに徹底したチューニングに挑むための装備が与えられているというワケだ。
もちろんクーラー以外にも、「AORUS RTX 2070 XTREME」は全身にカスタマイズの可能性を秘めている。航空・宇宙グレードの防湿・防塵・耐腐食コートを施した基板は、ウォーターブロックとの組み合わせも相性抜群。どう活かすかは、まさにユーザー次第、それを許容する豊かなポテンシャルをもった1枚だ。
協力:GIGABYTE Technology