エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.718
2019.02.14 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
「G-Master Hydro Z390 II」最大の特徴は、言わずもがなデュアル水冷仕様の冷却機構だ。ベンチマークテストの負荷がかかる陰で、それぞれの水冷クーラーはどのような挙動を示していたのだろうか。各種ベンチマークテストを実行した際に最も高かった数値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した際をアイドル時として、「HWmonitor」による計測を行った。
新たにIntel Core 9000シリーズに最適化された新型クーラーとして登場した、「Asetek 650LS RGB(+ENERMAX UCTB12P)」によるCPU温度からチェックしよう。CPUに強烈な負荷がかかる「CINEBENCH R15」では80℃を超えてくるものの、実際のゲームプレイやゲームベンチでは59℃/74℃と控えめ。ベンチマークのループを繰り返しても温度は変わらず、かなり余裕をもって冷却されていることが分かる。
続いて「Asetek 740GN(+ENERMAX UCTB12)」による、水冷仕様のGeForce RTX 2080 Tiだ。結果はゲーム系ベンチマークの計測でも最大64℃とかなり優秀で、グラフィックスカード水冷化の恩恵を大きく受けている。カードの動作クロックがリファレンスを大きく上回る水準であることもあり、しっかりした冷却能力でパフォーマンスを引き出す目論見が見事に当たった格好だ。
テストセッションの締めくくりは、ベンチマーク中における「G-Master Hydro Z390 II」の消費電力だ。それぞれのテスト実行時における最大値、起動後10分間放置した際の最小値それぞれをワットチェッカーで計測した。
アイドル時は55Wと控えめ。ベンチマーク中もほとんどが300W台半ばに収まっており、標準構成の750W電源を搭載するシステムとしては、電力効率的にも理想的な稼働状況だ。「Battlefield V」プレイ時のみ400Wを超えているものの、ほぼ問題なし。GeForce RTX 2080 Ti搭載の構成であれば、標準容量の750Wを下回らない限り、好きな電源ユニットを選ぶ余裕がありそうだ。
一般的な空冷に比べ、性能のピーク時に20~30℃も余分に冷却が可能な水冷は、極めてメリットが大きい。グラフィックスカードを確実に冷やし切ることで性能を引き出し、搭載ファンの速度も3割程度で済む。CPUだけでなくグラフィックスも水冷化するデュアル水冷は、ゲーミングマシンを構築する上で、理想的な選択といえる。
それを完璧な形で実現してくれるのが、サイコムの「G-Master Hydro」シリーズだ。GPUがリリースされる度に研究や検証を重ね、オリジナルの水冷グラフィックスカードを作り出し、同じく水冷化を施したCPUとともに組み込む。長年の実績により、ユーザーにとってサイコムがそれをやってのけるのは当然のことであり、もはやデュアル水冷は“サイコムの伝統芸”として認知されるに至った。
いまやBTOメーカー各社は、GPUがリリースされれば競うようにデュアル水冷モデルを構築し、製品化させてくる。かつてデュアル水冷がニッチな存在だったとは思えないほどだが、それは取りも直さず、サイコムが他のベンダーにも多くの影響を与えてきたということだ。
こうして今回検証を行った「G-Master Hydro Z390 II」を眺めてみると、あらためて随所につまった深いこだわりを感じる。その最たるものが、サイコムオリジナルの水冷であり、オリジナルの組み込み技術だ。単純にデュアル水冷マシンを作ろうと思っても、まったく同じクオリティのものを作り上げることはできないだろう。
強調しておきたいのは、ショップで市販されているパーツを買って組み合わせただけでは、「G-Master Hydro」シリーズは完成しないということ。単なる「自作代行」の枠を超えた、BTOベンダーとしてのこだわりとプライドが詰まった1台。やはりGeForce RTX 2080 Ti搭載のデュアル水冷マシンも、サイコムのそれは一味違った。
協力:株式会社サイコム