エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.724
2019.03.08 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
次に長時間の連続ゲームプレイによる安定性や、各部の温度をチェックしてみた。テスト内容はPC1で、Sランクの獲得を目指して「バイオハザード RE:2」をプレイ。同時にPC2では「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」を、解像度3,840×2,160ドット、描画設定を“最高”でループ実行した。
各所の温度計測には「HWiNFO」を使い、「CPU Package」「System」「MOS」「GPU Temperature」のテスト後半1時間の平均温度を取得。騒音値は約4時間プレイした段階で、「フロント」と「トップ」は各パネルから前に30cmと、上に60cm、「サイド」は左ガラスパネルの中央から30cm離れたところに騒音計を設置して測定を行った。
CPU、システム、電源回路の温度はPC1/PC2ともにまったく問題なし。GPU温度はPC2では84.6℃まで上昇したが、フルロードとしては許容できる範囲。そしてGPU負荷がおおむね50%を切っていたPC1では、56.7℃までしか上がらなかった。いずれも2システムPCであることを感じさせない結果で、「PUNI-W1」のエアフローは良好と言って差し支えないだろう。
なお、今回の検証を終えるまでの総時間は約8時間30分だったが、プレイ中に動作が不安定になることは一切なかった。老舗BTOブランドのストームらしく、出荷前のストレステストなどのチェックもしっかりと行われているようだ。
また騒音値を確認すると、こちらも40dBA半ばまでしか上がらず、一般的なシングル構成のPCと同等レベルに抑えられていた。ちなみに長時間検証時の最大消費電力は506Wだった。
テストセッションのラストは、システムごとの騒音値と消費電力をチェックしていこう。計測はPC1、PC2を個別に動作させた状態と、両方を同時に動作させた状態の計3パターンで実施。騒音値の測定ポイントは前項と同じで、OS起動後、10分経過した状態をアイドル、「Time Spy Extreme Stress Test」実行中を高負荷時として採用。消費電力は、アイドルの他、「CINEBENCH R15」実行時と「Time Spy Extreme Stress Test」実行時の数値をまとめている。
PC2のみを動作させた場合は、フロントファンが回転しないためアイドル時は最も静か。一方、高負荷時は内部に熱が籠もるため、ラジエターファンとVGAファンの回転数が上昇し、PC1よりノイズが大きい。また2台同時に動作させた場合の騒音値は、長時間ゲーミングと同じ傾向で、おおむね40dBA台半ばだった。
また消費電力はPC1/PC2に同時に負荷をかけた場合でも最高574Wで頭打ち。電源ユニットの容量は1,200Wなので、まだまだ余力は十分残されている。またPC2の「CINEBENCH R15」実行時は、CPU Power Limitの効果が顕著に現れており、PC1から37.8Wも低くなった。
今回のレビューでは国内BTO初の2システムPC、ストーム「PUNI-W1」を弄り倒してきた。Core i9-9900KとGeForce GTX 2080という発熱の大きいパーツを使用したハイエンドPCを、安定性や静音性を損なうことなく1つのケースに詰め込んだ技術力は見事。どのように使うのかはこの際置いておくとして、“2台のハイエンドPCを1台”にした点に魅力を感じるのであれば、「PUNI-W1」はまさに唯一無二の存在。十分購入する動機になりえるだろう。
またより現実的な構成を考えるなら、やはり1台はゲーミングPCに、もう1台を実況配信PCにするというのが妥当なところか。その場合、PC1の構成はそのまま。PC2のCPUをCore i7-8700、グラフィックスをオンボードグラフィックス、2ndストレージを4TB HDD、メモリを8GB×2にするとちょうどいい。さらにOSもWindows 10 Homeに変更すれば、価格も税込約480,000円とぐっと下げることができる。このように、構成を自由にカスタマイズできるのもBTOとして提供されている「PUNI-W1」の強みと言える。
カスタマイズ項目では、ダウンスペックも可能。PC2を配信向けに変更したところ約150,000円も価格を下げることができた |
協力:ストームシステムテクノロジー