エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.731
2019.04.05 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
Ryzen Threadripper 2990WX 実勢売価税込210,000円前後(2018年8月13日発売)(製品情報) Ryzen Threadripper 2950X 実勢売価税込100,000円前後(2018年8月31日発売)(製品情報) |
「Ryzen Threadripper WX」シリーズでは、以前詳細レビューで紹介した通り、2つの「CPU Complex」(CCX)モジュールで構成される、4つのCPUダイを1パッケージに統合。それぞれのCPUダイを「Infinity Fabric」と呼ばれるインターコネクトファブリックを使い相互に接続することで、最大32コア/64スレッドのメイニーコア構成を実現している。
ただし、メモリが直接接続されているのは4つのダイの内2つのみ。その他のダイからメモリにアクセスする場合、1リンクの「Infinity Fabric」を経由する必要があるため、レイテンシが大幅に増えて性能が低下してしまうという欠点がある。
4ダイ構成の「Ryzen Threadripper WX」シリーズ。メモリが接続されていないダイからメモリにアクセスする場合、1リンクの「Infinity Fabric」を経由する必要がある |
一方、2つのCPUダイで構成される「Ryzen Threadripper X」シリーズでは、それぞれのダイがメモリに直接アクセス可能。さらに異なるダイへのメモリアクセスが発生した場合でも、「Infinity Fabric」が「Ryzen Threadripper WX」シリーズの2倍となる2リンクのため、遅延を最小限に抑えることができる。
2ダイ構成の「Ryzen Threadripper X」シリーズ。相互リンクの「Infinity Fabric」は「Ryzen Threadripper WX」シリーズの2倍となる2リンク構成 |
その結果、ゲームをはじめとしたメモリアクセスの多いアプリケーションでは、「Ryzen Threadripper WX」シリーズが奮わず、「Ryzen Threadripper X」シリーズの方がより高いパフォーマンスを発揮するといったことが往々にして発生していたわけだ。
この問題を解消するために「Ryzen Master 1.5」から新たに追加された機能が「Dynamic Local Mode」だ。Windows 10のバックグラウンドサービスとして動作し、メモリアクセスが頻繁に行われる処理に関しては、メモリに直接アクセスできるCPUダイにスレッドを割り振ることで、メモリのボトルネックを解消できるというもの。
「Ryzen Threadripper WX」シリーズを搭載したシステムに「Ryzen Master 1.5」をインストールすると、「Dynamic Local Mode」は自動的に有効化される |
「Dynamic Local Mode」は、Windows 10のバックグラウンドサービスとして動作する |
「Ryzen Master 1.5」から、シームレスに有効・無効の設定が可能 |
「Ryzen Master 1.5」をインストールすると自動的に有効化され、ソフトウェア上で有効・無効の切り替えも可能。さらにバックグラウンドサービスとして動作するため、「Ryzen Threadripper X」シリーズの「Distributed Mode/Local Mode」のようにOSを再起動する必要がないのも大きなメリットだ。
AMDのプレスリリースによれば、「Dynamic Local Mode」を有効にすると「Battlefield 1」の47%を筆頭に、多くのゲームやアプリケーションでパフォーマンスが向上するという |
「Ryzen Threadripper X」シリーズでは、「Dynamic Local Mode」がグレーアウトされ、「Memory Access Mode」が設定できるようになる |