エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.735
2019.04.24 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ハイエンドゲーミングPCの謳い文句どおり、各種ベンチマークで良好なパフォーマンスを発揮した「Trident X Plus」。続いて、高負荷状態を再現するストレステストを使い、冷却性能や静音性を確認していこう。なお今回はCPU/GPUともに負荷を掛けることができる「OCCT:POWER SUPPLY」と、主にGPUに負荷をかける「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」の2種類を使用した。
「Trident X Plus」に搭載されるCPUクーラーは120mmファンを搭載するロープロファイルモデルだが、「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」では72℃、「OCCT:POWER SUPPLY」でも78℃で、Core i7-9700Kの発熱を完全に押さえ込むことができる。またGPUの温度を確認するとアイドル時はファンレス駆動となるため50℃とやや高め。ただし、高負荷時は最高でも70℃台前半までしか上がらず、「トルクスファン2.0」を2基搭載する「ARMOR放熱設計」の冷却性能はとても優秀だ。
アイドル時左側面のサーモグラフィー結果 | アイドル時右側面のサーモグラフィー結果 |
高負荷時左側面のサーモグラフィー結果 | 高負荷時右側面のサーモグラフィー結果 |
サーモグラフィーの結果を確認しても、アイドル時、高負荷時とも極端に温度が高い箇所はない。また高負荷時は、トップや背面、ボトムなど排熱口のある部分の温度が上がっており、「Silent Storm Cooling 3」と呼ばれる冷却デザインがうまく機能している様子が確認できた。
続いて、両側面から30cmのところに設置したデジタルノイズメーターによる騒音値をチェックすると、アイドル時はいずれも35dBA未満で、ほぼ無音に近い状態。また高負荷時でも最高値は約44dBに届かず、机の上に設置した場合でもヘッドセットをしてしまえば十分シャットアウトできるレベルだ。
テストセッションの締めくくりは、ストレステスト中の消費電力を確認していこう。アイドル時は起動後10分間放置した際の最小値、高負荷時の数値はそれぞれのストレステスト実行時における最大値を採用している。
アイドル時は39.7Wとハイエンド構成ながら消費電力は控えめ。また高負荷時は「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」実行時が284.1W、「OCCT:POWER SUPPLY」実行時が368.4Wだった。450W電源ユニットに対して負荷率は最大でも約80%に留まり、ストレージの増設や、より大容量メモリへの換装でも問題はない。ただし、グラフィックスカードの換装をする場合は、電源ユニットもより大容量のものに交換したほうがいいだろう。
約10リットルのスリム筐体を採用する「Trident X Plus」。今回検証したのはその中でも下位に位置づけられる「9SD-077JP」だが、ゲーミング向けCPUとして定評のあるCore i7-9700Kと、GeForce RTX 2070の組み合わせにより、そのパフォーマンスは良好。WQHDクラスの解像度までなら100Hzを超える高速リフレッシュレート液晶にも十分なパフォーマンスを見せてくれた。
さらにMSI自慢の独自冷却システム「Silent Storm Cooling 3」のおかげで、コンパクトPCにありがちなノイズや発熱の問題もなく、デスク上においた状態でも快適にゲームをプレイできる。またマザーボードや電源ユニットを含めた構成パーツは、いずれも標準規格に準拠したものばかり。パフォーマンスに不満が出た場合でも、ユーザーによるアップグレードの余地が残されているのも嬉しい。
税抜269,800円という価格設定は、個別にPCパーツを買って組み上げるよりは確かに割高だ。しかし、一般的なタワー型PCのわずか1/4サイズで、ここまで高性能かつ静音なハイエンドゲーミングPCは稀有な存在。このサイズ感に魅力を感じるなら、十分にその価値のある製品と言えるだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社