エルミタ的一点突破 Vol.51
2019.05.01 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕/池西 樹(テストセッション)
続いて、ファンの回転数をチェックしていこう。アイドル時はヒートシンク端側につけるスリムファン(以降:スリム)が464rpm、ヒートシンク中央につけるノーマルファン(以降:ノーマル)が511rpmで、回転数は40%前後に抑えられている。一方高負荷時の回転数は、スリムが1,176rpm、ノーマルが1,118rpmで、いずれもほぼ最高回転に近い状態。このことからCore i9-9900Kの発熱を空冷で制御するには、「風魔弐」のような高冷却志向の製品が必要になることがわかる。
次に騒音値も確認しておこう。測定はCPUクーラーから30cmの位置に設置したデジタル騒音計を使い、測定条件は「CPU温度計測」と全く同じにした。
回転数がグッと抑えられるアイドル時は暗騒音+0.7dBAの34.8dBAで、バラック状態でも全くノイズは気になることはない。また元々静音性の高いファンを採用していることもあり、ほぼ最高回転に近い高負荷時でも38.6dBAまでしか上がらず、「風魔弐」であれば性能と静音性を両立したPCを構築することができる。
定格駆動では、良好な冷却性能と静音性を発揮した「風魔弐」。そこで全コア5.00GHz駆動、コア電圧1.470Vにオーバークロックした状態でもチェックしてみることにした。
UEFIから手動で全コア5.00GHz、コア電圧1.470V(Fixed Mode:固定モード)に設定 |
コア電圧をFixed Modeで設定しているため1.470Vから変動しない。一方、コア倍率は負荷によって800MHz~5.00GHzで変動する |
コア電圧を1.470Vに固定しているため、アイドル時でも消費電力は20W弱増加しているが、CPUの温度は+3℃の36℃で、冷却性能はまだまだ余裕がある。一方、高負荷時は+12℃上昇し85℃を記録、スパイク値では95℃まで上がるシーンもあった。消費電力が約70Wも増えているため仕方ないが、長時間高負荷がかかる処理を行う場合には、コア電圧をもう少し抑えたオーバークロックに留めたほうが良いだろう。ただし、30分の負荷テストでは、サーマルスロットリングと思われる症状はなく、常に5.00GHzを維持できていたことを付け加えておく。
アイドル時はいずれも定格から約100rpm回転数が増加しているものの、回転率は約50%で余裕がある。一方、高負荷時は最高回転である1,200rpmにほぼ張り付いている状態だった。このレベルのオーバークロックをする予定なら、もう1台ファンを追加することを検討してもいいだろう。
最後に騒音値について確認していこう。アイドル時は+0.4dBAの35.2dBA、高負荷時でも+0.6dBAの39.2dBAで頭打ち。実際に聞いた印象も定格との違いを感じることはなく、静音性は非常に良好だ。現在使っているCPUクーラーのノイズが気になっているなら「風魔弐」への換装を強くオススメする。