エルミタ的一点突破 Vol.51
2019.05.01 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕/池西 樹(テストセッション)
最後に非接触型デジタル温度計とサーモグラフィを使い、ヒートシンクの部位別温度を確認していこう。こちらはCPUの動作クロックを定格にした状態で、ストレステスト30分実行後に計測をしている。
ストレステスト30分実行後のポイント別温度計測結果 |
ポイント別温度を確認すると、基本的にCPUから距離が遠くなるに従って温度が下がっていく。ヒートシンク別の温度を確認すると、スリムファンでフレッシュな空気を取り込める前方のヒートシンクの方が低く、暖められた風が当たる後方のヒートシンクが高くなっている。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | ストレステスト30分実行後のサーモグラフィ結果 |
続いてサーモグラフィの結果をみると、アイドル時、高負荷時ともヒートパイプの温度が明らかに高くなっており、受熱ベースで吸収した熱がヒートパイプを通ってヒートシンク全体に拡散している様子が見て取れる。
CPUクーラーは奥が深く、こだわりだすと切りが無いPCパーツの筆頭と言えるだろう。冷却の仕方には水冷と空冷が存在し、使い勝手や”魅せ方”により数多くの製品が市場に流通している。選定も楽しく、マニアが存在するのも当然だろう。とは言え、最も重要なのは「冷えること」だ。
「風魔弐」が発売される1ヶ月前、Noctua「NH-U12A」がリリースされた。つい先日検証記事を掲載したばかりだけに、意識しないワケにはいかない。
冷却の方法として完全一致はしないものの、ハイエンド志向の空冷である点ではライバル関係にあると見ていいだろう。本稿でもIntel Core i9-9900Kで検証を行っている以上、「NH-U12A」との徹底比較という格好にならざるを得ない。
「風魔弐」にはサイズが一貫してこだわる「静音」がプロダクトの柱に据えられている事が分かった。発熱の高いCore i9-9900Kに対し、2基の冷却ファンの回転数を低く抑え、実用レベルで全く問題が無い冷却ポイントまで、上手くチューニングされている。全コア5.00GHz駆動(コア電圧1.470V)オーバークロック状態での数値が気になるなら、第3のファン増設という”補足”としての熱を押さえ込む余地を残した。もちろん「風魔弐」がCore i9-9900K専用ではないため、AMD Ryzenの上位モデルにも安心して使用できる事は言うまでも無い。
CPUクーラーとは面白いもので、”単価あたり何℃冷える”といった見方はしない。「風魔弐」と「NH-U12A」の価格には開きがあるが、ともにCPUクーラー陳列棚の主役になる事だろう。どちらを選ぶかは読者次第だ。
協力:株式会社サイズ