エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.738
2019.05.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
「Fractal Designが”魅せるPCケース”を作るらしい」。この話を聞いて、恐らくコンセプトモデルの類いであろうと勝手に思い込んでいた。しかしいよいよ平成が終わる4月の末、グローバルリリースが一斉配信。本当に発売されるのである。
Fractal Designと言えば、以前からスカンジナビアデザインを前面に押し出し、フラットデザインによるシンプルかつ洗練された外観で知られている。日本国内市場はもとより、世界中に多くのファンが同社のPCケースを愛用し、新製品が出れば、各国の自作PC愛好家から注目を集める人気メーカーのひとつだ。そして静音をコンセプトとした「Define」シリーズは、押しも押されもしないミドルタワーPCケースの代表モデルとして、長く親しまれている。
一方で、最もライバルが多い同カテゴリは、どのメーカーも強化ガラスとイルミネーションで装飾する”魅せるPC”が主たるテーマ。悪く言えば、判を押したように似たようなデザインのPCケースが乱立し、個性的なPCを構築するベースの筐体が、個性を無くすという笑い話にもならない状況が続いている。そこに敢えてFractal Designが参入するという事実を”ちょっとした「事件」”くらいに感じてしまうのは、筆者だけではないだろう。
まずは今回取り上げる「Define S2 Vision RGB」(型番:FD-CA-DEF-S2V-RGB-BKO-TGD)をじっくりと見て欲しい。
Fractal Design「Define S2 Vision RGB」(型番:FD-CA-DEF-S2V-RGB-BKO-TGD) 市場想定売価税抜37,800円(2019年6月1日発売予定) 製品情報(Fractal Design / 株式会社アスク) |
国内では正規代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)が販売元となり、6月1日より出荷を開始。市場想定売価税抜37,800円で”魅せるPC”市場へ本格参入を試みる。そのテーマは「美しさ」と「機能美」だ。単にイルミネーションによる装飾ではなく、機能性にも注目して欲しいというメッセージは、いかにもFractal Designらしい。4面に強化ガラスを使った筐体は、2018年10月に発表された「Define S2」のシャーシ構造を流用。既に多数存在するライバルモデルとは異なり、あらゆる角度からシステムの美しさを楽しむ事ができるという。現時点、その違いを外観から推し量る事はできないが、検証を進める内にその理由が明らかになっていく事を期待したい。
実機による検証を始める前に、スペック表から「Define S2 Vision RGB」の概要を把握しておこう。外形寸法は幅233mm、奥行き543mm、高さ465mmで主素材はスチール製。さらに副素材にABS樹脂および強化ガラスを採用する。なおカテゴリ区分はミドルタワーPCケースに分類され、重量は12.1kgとされる。
フォームファクタは条件付きながらE-ATXを筆頭に、ATX、MicroATX、Mini-ITXに対応。オプションの電源ユニットはボトムレイアウトで、マザーボードを右サイドパネル側に設置する、オーソドックスなスタイルだ。
また4側面に強化ガラスを採用しつつ、発光しない冷却ファンを搭載させたブラックアウトバージョン「Define S2 Vision Blackout」(型番:FD-CA-DEF-S2V-BKO-TGD)も同時にリリースされている。遊び心は気が引けるロケーションには、控え目なこちらのモデルを選択するといい。
全身黒に仕上げた「Define S2 Vision Blackout」(型番:FD-CA-DEF-S2V-BKO-TGD)もラインナップ |
なおパッケージ寸法は幅325mm、奥行き535mm、高さ650mmで、付属品および梱包材を含めた総重量は14.8kg。人気メーカーの新製品とあって在庫販売が予想されるが、店頭持ち帰りを希望するなら、カートを準備して出掛けた方がいいだろう。