エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.738
2019.05.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ストレージの搭載方法もチェックしておこう。出荷時、右サイドパネル側に集約されたドライブベイ。まずは合計3台が搭載できる2.5/3.5インチシャドウベイに3.5インチHDDを搭載してみた。手順は、シャドウベイユニット両側面の穴に「HDD Dampener」を装着。「3.5″ Drive Screw」を使ってネジ留めを行う。ネジは最後まで締め切ることで固定は完了。2.5インチSSDを搭載する場合は、底面4箇所を「2.5″ Drive Screw」で固定すればいい。
コの字型の2.5/3.5インチ兼用シャドウベイ。HDDまたはSSDの発熱を考慮し、天板にはスリットが複数設けられている |
3.5インチHDDを3台マウント。ここで活躍するのが付属の「SATA Power Extension Cable」。約200mm間隔で3つに分岐されたSATA電源ケーブルで、電源ケーブルコネクタの消費を減らす有効なアイテムだ |
2.5インチSSDは、トレイ底面4箇所を「2.5″ Drive Screw」で固定。出荷時状態通り、マザーボードトレイ背面に設置する場合は、コネクタを下方向に固定すると配線がしやすいだろう。
オプションで販売中の「SSDブラケットキット TypeA」(型番:FD-ACC-SSD-A-BK-2P)を用意すれば、合計5台の2.5インチSSDが搭載可能。拡張性の高さも「Define S2 Vision RGB」の特徴と言えよう |
ボトムカバー(シュラウド)上の2.5インチSSDトレイ増設スペース。合計3台がマウントできる貴重な搭載エリアをオプション品で活用できる |
右サイドパネル側に集約された、ストレージ搭載スペース。強化ガラス製サイドパネルで丸見え状態になるだけに、ストレージはケーブルマネジメントを考慮したコネクタ方向でマウントしよう |
市場には多くの選択肢で溢れている、”光り物PCケース”。「魅せるPC」は一過性のブームではなく、今後も多くの新製品が投入されるに違いない。単なる”自己完結型”の発光に留まらず、アドレス指定可能なRGBイルミネーション対応品が主流となり、ともすれば分かりにくい配線方法に戸惑う自作ライトユーザーも少なくないだろう。「Define S2 Vision RGB」では、合計4基のアドレサブルRGBファンと、LEDストリップ1本を標準で装備。これらを発光させるにはそれぞれをケーブルで接続する必要がある。
図解マニュアルに詳しいが、「Prisma AL-14 PWM ARGB」には4pin PWMコネクタ(冷却ファン電源供給用)の他に、連結が可能なアドレサブルRGB 3pin分岐ケーブルが装備されている。これをひとまとめに接続し、さらに対応マザーボードのRGBコネクタに接続。イルミネーションが一括で制御できるようになる。
また末端をマザーボードではなく、付属の「Adjust R1 RGB Controller」に接続すれば、アドレサブルRGB LEDをボタン操作によりコントロールができる。なおボタン数は3つで、モードの切り替え、カラー調整、5段階輝度調整に対応。スチール素材ならどこでも簡単に設置できるマグネットを内蔵し、使い勝手もいい。
Fractal Designを動かすほど、自作PCの”魅せる化”は根付いている。「Define S2 Vision RGB」の発表を聞き、「あのFractal Designが・・・」と感じた自作派は多いだろう。恐らくは期待と不安が半々で、筆者は圧倒的に後者の印象を持った事は、冒頭でも触れた。
強化ガラスを採用するPCケースを検証する際、傷が付かないよう事前にサイドパネルを取り外してしまう。両サイドが解放状態の「Define S2 Vision RGB」は、シャーシだけを見ると、フロントとトップ、さらに搭載ファン以外は通常版「Define S2」だ。「Define」シリーズの高い評価そのままに、Fractal Designらしい工作精度と独自の設計は、同クラス上位レベルの出来映えであることに間違いはない。
「Define S2 Vision RGB」は、通常版「Define S2」が採用するケース側面、上部、フロントの高密度吸音素材付きパネルその全てを強化ガラスに換え、ガラリと路線を変更。ベース筐体の完成度の高さを強みに、安易に強化ガラスと発光ファンで飾り付けたPCケースとは圧倒的に違う。しっかりした基礎があってこそのバリエーションであり、Fractal Designの遊び心と捉えても良いだろう。ともすれば、市場の様子を窺う試金石といった意味合いがあるのかもしれない。
いずれにせよ「Define S2 Vision RGB」とは、よくある”魅せるPC”ベース筐体とは一線を画し、至極真面目に作られたベースの上に成り立つ”プレミアム・バリエーション”であった。
協力:Fractal Design
株式会社アスク