エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.746
2019.06.19 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
ここからは実際のゲームシーンを想定したテストに移っていこう。オンラインゲームのメジャータイトルである「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」のベンチマークテストを実行し、その際の挙動を確認する。グラフィックス設定は「最高品質」で、解像度は3,840×2,160ドットにセット、これまでのテストと同様に連続で30分間ループで実行した。
「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」による各電圧の変化 |
「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」による各電圧の最大/最小/平均値 |
消費電力は最大352Wと、4K解像度での最高品質だけに、比較的大きな負荷がかかっている。やや気になったのは+5Vの挙動で、平均値でやや定格を割り込んでおり、これまでより余裕が少ない印象。とはいえ、最も重要な+12V系は安定動作で、最大/平均値の差はわずか0.068V。「3DMark」ともまったく同じ数値であり、常に一定の範囲で変動していることが分かる。
最後は「Battlefield V」プレイ中の挙動を確認する。リアルタイムレイトレーシング機能を有効化すると強烈な重さになるタイトルだが、描画品質は“最高”で解像度は3,840×2,160ドットと、より負荷が重くなる環境に設定。シングルプレイヤーモード「大戦の書」の「最後の虎」をプレイし、30分経過した状態で計測を行った。
「Battlefield V」による各電圧の変化 |
「Battlefield V」による各電圧の最大/最小/平均値 |
リアルタイムレイトレーシング機能の「DXR(DirectX Raytracing)」を有効化することで、FPSは通常から半減するなど、大きな負荷がかかるタイトル。消費電力は最大362Wをマークした。結果は「FF XIV」とよく似た傾向で、+5Vの平均値がやや定格を割り込む内容。ただし+12Vは一瞬ゲーム起動時に出力が落ち込む以外は、あらゆるシーンで定格以上を維持する安定動作をみせてくれた。最大/平均差も0.082Vと少なく、ブレの少ない優れた信頼性はさすがだ。
ユーザー層が一際厚いバリューゾーンにおいて、長く売れ筋に君臨したモデルの後継という、難しい立ち位置でデビューした「V Gold」シリーズ。正式リリース前は先代をなぞるような正常進化を予想していたところ、まったく異なる性格の製品が出来上がった。
そもそも「V Gold」シリーズには、「V Semi-Modular」のような価格的なインパクトはない。80PLUS GOLD認証に加え、より厳格なETA-A認証を取得するなど、むしろ品質へのこだわりが光る仕上がりになっている。
日本製コンデンサを100%採用したフルモジュラー仕様という、ハイクラスのトレンドはしっかりカバー。そこに一般的なモデルを上回る高品質なPCIeケーブルの採用、さらにセミファンレスの切り替え機能といった、優れた付加価値を盛り込んだ。特にベテランの自作ユーザーに根強い訴求力をもつ、低回転での常時冷却を可能にするギミックは技あり。このクラスでは異例といえる、10年間の長期保証が付帯する点も見逃せない要素だろう。
価格勝負から大胆な転身を遂げた新シリーズ。まさにGOLD認証モデルの最高峰と言っていい完成度であり、今後数年の主力を担うモデルとして相応しい実力を持っている。
協力:Cooler Master Technology