エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.748
2019.06.26 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
Intel Core i9-9900KをベースにしたPCに「Carbonaut」を導入し、その性能をチェックする |
ここからは、いよいよIntel Core i9-9900Kを使い、「Carbonaut」の実力をチェックしていこう。CPUクーラーは先日詳細レビューをお届けしたサイズ「風魔弐」で、ストレステストには「OCCT 5.1.0」、CPU温度の取得には「HWiNFO64 v6.08」を使用した。なおアイドル時は起動直後10分間放置した際の数値、高負荷時は「OCCT 5.1.0」を30分間動作させた際のログを取得し、その平均値を算出した。また比較対象として、「風魔弐」に付属するサーマルグリス「Thermal Elixer 2」でも測定を行った。
ストレステスト実行時は「Carbonaut」「Thermal Elixer 2」ともCPUのクロックは4.70GHzで推移。消費電力やファンの回転数にも大きな差はなかった |
CPU温度は「CPU Package」の数値を採用している |
CPUクーラーにはCore i9-9900Kを十分に冷やせることが確認できているサイズ「風魔弐」を使用 | サーマルグリスは「風魔弐」に付属する「Thermal Elixer 2」。熱伝導率は3.5W/m・kで標準的な数値 |
まずアイドル時の温度を確認すると、いずれも34℃で横並び。冷却性能が完全に飽和している状態では、熱伝導材の違いはあまりでないようだ。一方、高負荷時の平均温度を確認すると「Thermal Elixer 2」の77.452℃に対して、「Carbonaut」は75.912℃で1.54℃低い結果。このことから「Carbonaut」は一般的なサーマルグリスの代替として、十分な性能を備えていると言って良さそうだ。
高い熱伝導率を誇る新開発の炭素繊維素材を採用することで、サーマルパッドの厚さのデメリットを解消したThermal Grizzly「Carbonaut」。62.5W/m・kという数値に過度の期待は禁物だが、標準的なサーマルグリスとの比較では同等以上の性能を発揮。コア数が増え、発熱が大きいハイエンドCPUにも対応できることがわかった。
また注目の再利用については、今回使用したサイズ「風魔弐」がネジ固定で比較的テンションが高いこともあり、CPUのヒートスプレッダからはみ出した部分には、一部切れ込みが入ってしまった。しかし、粘着性が無いため、CPUクーラーに密着している部分については剥がすときによれたり、破れたりすることはなく、再度装着しなおした場合に、冷却性能が低下することもなかった。さらにサーマルグリスのように経年劣化の心配がなく、長期間保存しておけるのも大きなメリットだ。
検証が終了した直後の「Carbonaut」。ヒートスプレッダからはみ出した部分には切れ込みが入っているが、粘着性がなく簡単に剥がすことができるため、密着している部分が破れることはなかった |
CPUやCPUクーラーを交換するたびに、サーマルグリスの拭き取りや塗布が面倒だと感じている人や、CPUやマザーボードの汚れが気になるならThermal Grizzly「Carbonaut」はオススメのアイテムだ。
協力:株式会社 親和産業