エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.749
2019.06.29 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
組み込みセッションの最後は、「モジュラー型ドライブケージ」にストレージを搭載してみよう。専用トレイ表裏に3.5インチHDD、2.5インチSSDを共存できる卓越したストレージ収納力。「CM 690」から大幅にアップグレードされた「CM694」最大の改良点でもある。
今や当たり前のストレージ横置きレイアウト。「CM 690」から一気に広まったシャドウベイユニットスタイルは、「CM694」でさらに進化。「排他」から「共存」へ設計を見直した”大収納力”がライバルモデルをリードする |
3.5インチHDDおよび2.5インチSSD合計12台をフル搭載させた「モジュラー型ドライブケージ」。全てのコネクタをマザーボードトレイ背面に向けることで、煩雑確実なケーブル類を”楽屋裏”で処理する事ができる |
人気機種「CM 690」の後継を任された「CM694」。外形寸法をひとまわり小型化したことに比例し、内部容積も若干縮小された。昨今のミドルタワーPCケースと言えば、DIY水冷の普及により大型化される傾向にある。広い内部空間は組み込みを容易にし、各パーツの居住性も向上。物理的な干渉を起こすリスクが軽減された。いずれもプラス要素と言えよう。
一方で、誰もがDIY水冷を構築するわけではない。イルミネーションを好まないビジネス用途や、ホームユースも相当数存在する。基本に忠実な筐体を好むニーズにとって、近頃の自作PC市場は、その選択肢が減っているように見えるはずだ。
「CM 690」はその中間にあって、幅広いユーザーから支持を集め、今なお終息を惜しむ声がある事を冒頭でも触れた。そんな懸念のある中で、後継機種はそのリクエストに十分応えてくれるだけの要素がある事を知った。
小型化を懸念する意見もあるだろう。Cooler Masterが敢えてサイズダウンの図面を引いたのは、「CM 690」の無駄をそぎ落とした結果であり、ブラッシュアップという言葉が似合う。大容量のストレージ収納力は強みであり、グラフィックスカードスタビライザーもよくできている。強化ガラス採用「MasterBoX CM694 TG」のみに付くボトムカバーは、着脱が簡単で扱い易い。そして工作精度は「CM 690」以上だ。
フロントパネルデザインに前作の面影を残す「CM694」。2019年後半、Cooler Masterの主役を担う看板モデルのデビューだ。
協力:Cooler Master Technology