エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.751
2019.07.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
テストセッションのラストは「インタラクティブUEFI」からCPUコアクロックと、コア電圧のみを調整する簡易オーバークロックを試していこう。なおベンチマークテストには「CINEBENCH R15」を使用した。
今回の簡易チューニングでは、CPUコアクロック(Frequency)が4.35GHz(設置値は4,350MHz)、コア電圧(Voltage)が1.375Vまで安定動作させることができた |
「CPU-Z 1.89.1」で確認をしたが、ベンチマークテスト中にクロックが低下するようなことはなかった |
今回の簡易チューニングでは、CPUコアクロック4.35GHz、コア電圧1.375VまではOSの起動、ベンチマークテストとも安定動作させることができた。また「CINEBENCH R15」の結果を確認すると、シングルコアテストは定格でも4.40GHz以上で動作することから1cb低いスコア。一方、定格では4.05GHz前後で頭打ちとなるマルチコアテストは約7%スコアが向上し、3,384cbを計測した。
続いて消費電力を確認すると、アイドル時は15.1W増の88.2W、高負荷時は35.1W増の290.4Wだった。今回はコアクロックとコア電圧を調整するライトなチューニングだったため劇的な伸びはなかったが、オールインワン水冷やデュアルファンの高冷却クーラーを使い、細かくチューニングすればまだまだ上を目指すことができそうだ。
メインストリーム向けでは最高峰のメニーコア構成や、シングルスレッド性能の大幅な向上、そして世界初のPCI-Express4.0への対応など、大きな飛躍を遂げた第3世代Ryzenシリーズ。その性能を引き出すためには、マザーボードの設計がこれまで以上に重要になってくる。
「X570 Taichi」では、各種機能を刷新。電源回路のMOSFETは、これまでの「デュアルスタックMOSFET」から、より高効率な「Dr.MOS」へと変更され、より安定した電力供給が可能になった。さらにAMD X570マザーボードでは、最大となる3基のPCI-Express4.0対応「Hyper M.2」や、最新規格Wi-Fi 6無線LANの実装など、主要機能は大きくアップグレードされている。
一方で、10/2.5ギガビットLANや、Thunderbolt 3など、ユーザーが限定される機能は敢えてオミット。ハイエンドモデルだからといって、無駄に機能を詰め込まないのはコストパフォーマンスを重視するTaichiシリーズらしいアプローチと言えるだろう。
新たに追加された「Heatsink Armor」や、メタル風の「I/O Armor」の採用により、ガラリと変わった外観デザインは賛否が分かれるかもしれないが、その基本コンセプトは変わらない。第3世代Ryzenシリーズの登場により、新たなステージへと進んだメインストリームプラットフォーム。「X570 Taichi」なら、コストを抑えつつその魅力を余すこと無く味わうことができる。
協力:ASRock Incorporation