エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.753
2019.07.07 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
次に、PCの総合的なパフォーマンスを計測するPCMark 10のスコアを確認していこう。
シングルスレッド性能が重要な比較的軽めの項目が多いこともあり、これまでRyzenシリーズが苦手にしてきたベンチマークテストだが、Ryzen 9 3900Xがしっかりトップを獲得。内訳も「Productivity」以外は、すべてのテストでCore i9-9900Kを上回り、第3世代Ryzenではしっかりとこれまでの欠点が解消されている。またRyzen 7 3700Xのスコアを確認すると、Core i9-9900Kとの差は1%未満に留まり、後発のメリットがしっかりと活かされている。
ここからは総合ベンチマークテスト「Sandra Titanium」のスコアを確認していこう。まずはCPU関連のテストとして、「プロセッサの性能」と「マルチメディア処理」の計測を行った。
「プロセッサの性能」は、Ryzen 9 3900Xが整数演算で約23%、浮動小数点で約35%もCore i9-9900Kを上回り、やはりコア数のメリットが大きい。一方、Ryzen 7 3700XはCore i9-9900Kにいずれも10%以上の差をつけられ、やや振るわない結果となった。
またこれまでIntel製CPUに大きく差をつけられていた、拡張命令を使用する「マルチメディア処理」だが、第3世代Ryzenシリーズでは、AVX命令のパイプ幅が128bitから256bitに拡張されたことで性能が飛躍的に向上。特に浮動小数点関連のテストは軒並みスコアが改善され、コア数あたりの性能はIntel CPUと比較しても全く遜色ない。拡張命令を多用するアプリケーションがメインなら、第3世代Ryzenシリーズへのアップグレードは是非オススメしたい。
続いてメモリ関連のテストとして、「メモリの帯域」と「メモリのレイテンシ」を確認していこう。いずれもメモリクロックは3,200MHzで、JEDEC準拠のプロファイルを使用している。
JEDEC準拠のDDR4-3200メモリも登場し、高速メモリがより手軽に導入できるようになった |
代々Ryzenが得意としてきた「メモリの帯域」だが、第3世代Ryzenシリーズでもこの流れは継承されている。全く同じクロックにもかかわらずRyzen 9 3900Xでは約14%、Ryzen 7 3700Xでも約5%Core i9-9900Kを上回る。一方、その設計上Ryzenシリーズが苦手としている「メモリのレイテンシ」については、いずれも約36nsでこれまでの製品に比べればだいぶ短縮された。しかしCore i9-9900Kと比較すると、まだ約1.75倍遅く、完全に同等となるまでにはさらなるブラッシュアップが必要だ。