エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.754
2019.07.18 更新
文:松野 将太
ここからは、「AS5202T」と「ZA1920NM10001」の組み合わせでどの程度の速度が出るのかを見ていこう。NASのRAIDレベルは転送速度を重視したRAID 0を選択。「Jumbo Frame」はLANカード側を「9014」、「AS5202T」を「9000」に設定している。
PC側のSSDがボトルネックにならないよう、データコピー用には読込3,000MB/secオーバーの「KC2000 NVMe PCIe SSD」を用意した |
テストはまず、「AS5202T」上の共有フォルダーをネットワークドライブとして割り当て、「CrystalDiskMark 6.0.2」を実行。加えて、「容量6.77GBの写真データが入ったフォルダー」「容量8.39GBの1ファイル」「容量40.6GBの圧縮ファイル」の3種類のデータを用意し、コピー時間をストップウォッチで計測した。PC側のSSDはKingston「KC2000 NVMe PCIe SSD」シリーズの1TBモデル「SKC2000M8/1000G」だ。
2.5ギガビットLAN接続時の「CrystalDiskMark 6.0.2」 | ギガビットLAN接続時の「CrystalDiskMark 6.0.2」 |
まずは「CrystalDiskMark 6.0.2」の結果だ。見ての通り、2.5ギガビットLAN接続時のシーケンシャル読込・書込はともに300MB/sec超えを達成。しっかりとギガビットLANの3倍に迫ろうかという転送速度を発揮できている。ランダムアクセスについてはおおむね変化なし~微増といったところだが、ひところのNASでは考えられない転送速度が出ており、導入の価値は十分あると言えるだろう。RAID 0構成でなくとも、SSDを装着するのであれば大きな恩恵があるはずだ。
続いて、PCから「AS5202T」へのデータコピー時間を確認しよう。こちらはいずれのデータのコピーでも、2.5ギガビットLANがギガビットLANに2倍強の差をつける速度でコピーを完了している。特に40.6GB圧縮ファイルのコピーはギガビットLANでは6分以上かかるが、2.5ギガビットLANであれば3分到達前に完了できる。大きなサイズのデータを頻繁にやり取りするユーザーにとっては魅力的な結果だ。
「AS5202T」からPCへのコピー時間も結果はほぼ同じ。10ギガビットのインパクトに比べれば見劣りするところはあるかもしれないが、それでも300MB/secに近いレベルの速度が出ているため、それほど問題に感じないユーザーの方が多いはず。このタイミングで既存のNAS環境を更新したい場合、「AS5202T」は有力な選択肢だ。
メニーコアCPUの隆盛やクリエイティブ人口の増加もあり、近年のハイスペックPCは性能向上が著しく、もはや多くの人の手に余るほどの性能を発揮するようになりつつある。そんな中、「PCだけでなくストレージやネットワーク環境も豪華に構築したい」と考えるコアユーザーにとって、「IronWolf 110 SSD」と「AS5202T」はまさにうってつけと言える組み合わせだ。
今回はNASでRAIDを組んでの検証だったが、「IronWolf 110 SSD」1台にキャッシュを割り当て、もうひとつのドライブにHDDを装着してハイブリッド運用する、というのも有効だ。2.5ギガビットLANを搭載したマザーボードなども徐々にではあるが登場しているため、PC買い替えのタイミングであわせてNASを新調するのも良いだろう。いずれにしても、プロシューマグレードの製品の実力を体感したいのであれば、まずは購入を検討してみることをすすめたい。
協力:
ASUSTOR Inc.
Seagate Technology