エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.760
2019.07.31 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
さてテストセッションのラストは、チューニングユーティリティ「EasyTune」を使い、CPUコア倍率とコア電圧のみを調整する簡易オーバークロックで、どこまでパフォーマンスを引き上げることができるのか試していこう。なおベンチマークテストには「CINEBENCH R15」「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の3種類を用意し、すべてのテストが完走できる最高クロックを検証することにした。
「EasyTune」の「Advanced CPU OC」タブを使えば、Windows上から簡単にオーバークロックが可能 |
コア電圧を1.475Vまで上げることで、全コア4.35GHz駆動が可能だった |
今回の簡易チューニングでは、CPUコアクロック4.35GHz、コア電圧1.475VまではOSの起動、ベンチマークテストとも安定動作させることができた。また「CINEBENCH R15」の結果を確認すると、シングルコアテストは定格でも4.40GHz以上で動作することから3cb低いスコア。一方、定格では4.05GHz前後で頭打ちとなるマルチコアテストは約8%スコアが向上しており、マルチスレッドに最適化したアプリケーションなら、処理時間を短縮できるだろう。
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」のゲーム系ベンチマークは、いずれもシングルスレッド処理性能が重要なようで、オーバークロックによってわずかながらスコアが低下してしまった。幸い「EasyTune」では設定をシームレスに切り替えられるので、必要に応じて使い分けるといいだろう。
続いて消費電力を確認すると、ゲーム系ベンチマークで約30W、「CINEBENCH R15」では70W以上も消費電力が増加している。第3世代Ryzenシリーズでオーバークロックをするなら「X570 AORUS ELITE」のような、堅牢な電源回路を持つマザーボードが必要になる。
AMD X570チップを採用するゲーミングマザーボードでは、最廉価帯に位置づけられる「X570 AORUS ELITE」。補助電源コネクタこそ8pin×1に制限されるものの、ハイエンドモデル匹敵の12+2フェーズデジタル回路と、大型のヒートシンクを組み合わせた電源周りは間違いなく優秀。メインストリーム向けCPUでは、最高峰となるTDP105WのRyzen 9 3900Xの定格運用はもちろん、常用レベルのオーバークロックにも十分なパフォーマンスを見せてくれた。
またこのクラスの製品では珍しい、「WIMAコンデンサ」を採用したオーディオ回路や、AMDチップセットの普及価格帯モデルで一般的なRealtekではなく、IntelチップによるギガビットLANを搭載しているのも、この製品を購入する大きな動機になるはずだ。
ゲーミングマザーボードに対して多くのユーザーが求める機能は妥協せず、SLIやマルチギガビットLANなど、一部のエンスーユーザーやハイエンドゲーマーしか使わない機能は大胆に省略。これにより、コストをぎりぎりまで抑えた「X570 AORUS ELITE」は、なるほど人気がでるのも納得の秀作モデルだった。
協力:日本ギガバイト株式会社