エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.766
2019.08.17 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
続いて、PCI-Express4.0接続のNVMe M.2 SSD「AORUS NVMe Gen4 SSD」を、Ultra M.2またはHyper M.2に搭載し、ストレージ性能をチェックしていこう。なおベンチマークには「CrystalDiskMark 6.0.2」を使い、データサイズは1GiB、データ形式は圧縮率の低い「デフォルト (ランダム)」を選択している。
AB350M Pro4 |
B450M Pro4 |
X570 Taichi(「Heatsink Armor」は取り外した状態で測定を実施) |
「B450M Pro」に関しては、PCI-Express3.0(x4)の事実上の限界である3,500MB/sec前後でスコアが頭打ち。またPCI-Express4.0に対応する「X570 Taichi」では、シーケンシャル読込が5,000MB/sec、書込が4,266MB/secを計測するなど、順当なスコアを記録した。
ただし、「AB350M Pro」に関してはBIOSがまだ完全に最適化されていないらしく、PCI-Express4.0が有効化されていた。今回の検証では、テスト中に不安定な挙動を示すことはなかったが、PCI-Express4.0では、よりノイズに強い配線など専用の設計が必要。イレギュラーな動作であり、どのような障害が発生するかわからないため、早急なBIOSアップデートに期待したい。
最後に消費電力を確認していこう。起動直後10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時、各ベンチマーク実行時の最大値を高負荷時に設定。“Wattup Pro”を使用して消費電力を計測している。
高負荷時の消費電力は「AB350M Pro4」「B450M Pro4」「X570 Taichi」の順で、ベンチマークスコアやオンボード機能の違いを考えれば順調な結果。またアイドル時の消費電力については、「AB350M Pro4」が「B450M Pro4」との比較で約20W、「X570 Taichi」との比較でも10W以上高くなった。これは「B450M Pro4」と「X570 Taichi」の最新BIOSは、アイドル時の電圧調整を修正した最新ファームウェア「AGESA ComboAM4 1.0.0.3ABB」に対応するが、「AB350M Pro4」のファームウェアは対策前の「AGESA ComboAM4 1.0.0.1」にとどまるためと思われる。前項のM.2スロットの件と合わせて、最新BIOSでの修正に期待したい。
ここまでAMD 300/400シリーズのチップセットを搭載する旧世代のコストパフォーマンスモデルと、最新ハイエンドCPU Ryzen 9 3900Xを組み合わせて、動作やパフォーマンスの検証を進めてきた。
テスト結果を見る限り、AMD 400シリーズについてはCPU、グラフィックスとも大きな差はなく、機能面の大きな違いもPCI-Express4.0の対応のみ。既存環境のアップグレードはもちろんのこと、最近では第3世代Ryzenシリーズへの最適化を謳う新製品も登場しており、コストを抑えつつ新PCを組むなら、そういったモデルを選択するのもアリだ。
一方、AMD 300シリーズについては、一部の自動オーバークロックなど非対応の機能があるため、AMD X570やAMD 400シリーズに比べると、約5~8%程度スコアに落ち込みが見られた。4コアから6コアや、8コアから12コアなど、思い切ったアップグレードなら効果はあるが、コア数が変わらない換装は控えたほうがいいだろう。またこれから新規に組むなら、AMD 400シリーズ以降を選択したい。
そして、いずれのチップセットでも、最新ファームウェア「AGESA ComboAM4 1.0.0.3ABB」に対応したBIOSが提供されているかが重要なポイントになる。必ず確認してから、アップグレードすることを強くオススメする。