エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.771
2019.09.06 更新
文:松野 将太
セッションの最後に、システムの消費電力とGPU温度をチェックしておこう。テスト方法は、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として採用し、計測はワットチェッカーで行っている。
アイドル時の消費電力は60W程度で、高負荷時の最大値は、「SAPPHIRE PULSE RX 5700 XT」が80Wほど高くなった。公称スペックの消費電力差は54Wだが、それよりも大きな差だ。「SAPPHIRE PULSE RX 5700」では負荷の高い場面でも大きく電力が跳ねることがなく、その挙動の違いが結果に表れたと言っていい。
では、GPUの温度にどの程度の差が出ているか見てみよう。今回は、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」実行時の温度の推移を「HWiNFO 64」で取得している。
GPU Temperatureの値はどちらも最大73℃あたりで落ち着くが、「SAPPHIRE PULSE RX 5700」は温度の上昇がゆるやかで、最高温度にたどり着くのが遅い。一方でより高温になるGPU Hot Spot Temperatureの値は、「SAPPHIRE PULSE RX 5700」が80℃前後で落ち着く反面、「SAPPHIRE PULSE RX 5700 XT」は90℃まで上昇している。このレベルに抑えられていれば、大きな問題はないはずだ。今回の2製品は、消費電力を見る限り発熱にも大きな差があるわけだが、「SAPPHIRE PULSE RX 5700 XT」はヒートパイプを増やすなどVGAクーラーの冷却性能を高めることで対処している。結果的にGPU Temperatureの最大温度を下位モデル並みに抑えており、健闘していると言っていいだろう。
「SAPPHIRE PULSE RX 5700」および「SAPPHIRE PULSE RX 5700 XT」は、人気のPCゲームをWQHD以下の解像度でプレイする際に魅力的な選択肢のひとつとなるグラフィックスカードだ。今回はユーティリティの更新が間に合わず、オーバークロックの検証を実施できなかったが、OCによってさらにフレームレートを安定させたり、タイトルによっては4Kの快適動作に挑戦できる余地もある。
どちらを購入するべきか悩んだ場合、少しでもフレームレートを高めたいのであれば「SAPPHIRE PULSE RX 5700 XT」がマストとなるが、「eスポーツ系タイトルをフルHD解像度で遊ぶ」といった明確な目的があるのなら、「SAPPHIRE PULSE RX 5700」を選んで差額をハイリフレッシュレートディスプレイの購入に充てる、といったプランも捨てがたい。昨今のAMDの盛り上がりにあやかって、PC一式をAMD環境で揃えたいといった場合も有力なチョイスだろう。
協力:SAPPHIRE Technology Limited
株式会社アスク