エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.772
2019.09.09 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
パフォーマンステストが一段落したところで、ここからはストレステストを使い、「SPファンクーラー」の性能をチェックしていこう。今回は「3DMark」の「Time Spy Stress Test」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として、GPU温度と騒音値を測定した。なおファンの回転数については、「ELSA GPU Optimizer」「GPU-Z 2.24.0」とも割合(何%)は取得できるが、回転数そのものの取得はできなかったので省略している。
まずGPU温度を確認するとスコアが低めの「エコ」では最高60℃、性能的にほぼ同じ「初期設定」と「ハイパフォーマンス」でも最高75℃までしか上がらなかった。GeForce GTX 1650の公称最高温度である92℃までは、20℃弱の余裕があり、1スロットながら「SPファンクーラー」の冷却性能は良好だ。
続いてファンのノイズを確認すると、回転数が85%前後で推移する「エコ」は49.3dBA、ほぼ100%まで上がる「初期設定」と「ハイパフォーマンス」では51.5dBAまで上昇した。今回はバラック状態での検証だが、ケースに入れた場合でもある程度のノイズは覚悟しておいたほうがいいだろう。
ベンチマークテストのラストは消費電力をチェックしておこう。なおテスト方法は前項の冷却テストと同じ。「3DMark」の「Time Spy Stress Test」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として採用した。
まずアイドル時の消費電力だが、省電力機能によりクロック・電圧とも引き下げられるため約70Wで横並び。また高負荷時はパフォーマンスに大きな差がない「初期設定」と「ハイパフォーマンス」は、消費電力もほぼ同等。一方、「エコ」では約20Wも低くその効果はかなり大きい。
「ELSA GPU Optimizer」では、シームレスにプリセットを選択できるため、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」のように軽いゲームをする場合は「エコ」を、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」のような重量級のゲームでは「初期設定」や「ハイパフォーマンス」を選択するなど、用途に合わせて都度設定してやるといいだろう。
ミドルレンジクラスのグラフィックスカードでは、貴重な1スロットモデル「ELSA GeForce GTX 1650 SP」。オリジナル「SPファンクーラー」はややノイズが大きいものの、冷却性能はなかなか優秀。今回の検証中一度もサーマルスロットリングと思われる症状は発生せず、パフォーマンス面では一般的な2スロット(もしくはそれ以上)モデルとの差を感じることはないだろう。
最近ではMini-ITX専用のPCケースでも、2段の拡張スロットを備えている製品が増え、以前ほど1スロットのグラフィックカードが必須になるシーンは減ってきている。しかし、小型PCケースにおけるエアフロー面や、PCI-Express(x16)スロットの直下にある拡張スロットを専有しないなど、導入するメリットは確実にある。
GeForce GTX 1650グラフィックカードの一部には、補助電源コネクタを搭載するモデルが存在しているが、「ELSA GeForce GTX 1650 SP」は不要。ケース内の配線を1つ減らせるというメリットもある |
正直、税込26,500円前後という市場想定売価は、GeForce GTX 1650グラフィックスカードの中ではかなり高価。しかし「ELSA GeForce GTX 1650 SP」は、Turing世代では唯一無二の1スロットモデル。この薄さが“刺さる”人は間違いなくいるはずだ。
協力:株式会社エルザジャパン