エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.775
2019.09.18 更新
文:松野 将太
AMD「Ryzen 7 3800X」(画像左)実勢価格50,700円前後(2019年9月現在) AMD「Ryzen 7 3700X」(画像右)実勢価格43,000円前後(2019年9月現在) 製品情報(AMD) |
世界初の7nmプロセスで製造されたCPUであり、メインストリームCPUとして初めてPCI-Express4.0を正式サポートするなど、第3世代RyzenがPC業界で大きな話題を呼んだのは既報の通り。今回取り上げる第3世代のRyzen 7は、8コア/16スレッドでの動作に対応するハイエンドCPUという位置づけだ。従来不利だったシングルスレッド性能も大幅に向上しており、ゲーム、クリエイティブどちらの用途でも幅広く利用できる。
2019年8月時点では、12コア/24スレッドの最上位モデル「Ryzen 9 3900X」が供給不足により入手困難となっていることもあって、ハイエンドPC構築のためにRyzen 7に目を付けているというユーザーも多いだろう。
従来通りSocket AM4プラットフォームに対応する第3世代Ryzen。X570チップセット搭載マザーボードだけでなく、BIOS更新により旧世代のマザーボードにも搭載できる |
7nmプロセスによる製造や設計の改善により、CPUの性能は第2世代Ryzenから大幅に向上した。加えてPCI-Express4.0のサポートにより、対応するシーケンシャルリード5,000MB/s超えのSSDなども利用できるメリットがある |
「Ryzen 7 3700X」および「Ryzen 7 3800X」の詳細なスペックについては下記の表を参照いただきたいが、大きな違いはそれぞれの動作クロックだ。上位の「Ryzen 7 3800X」がベースクロック3.9GHz、最大クロック4.5GHzであるのに対し、「Ryzen 7 3700X」はベースクロック3.6GHz、最大クロック4.4GHzと、若干抑えめのクロックが設定されている。これにより「Ryzen 7 3800X」は105W、「Ryzen 7 3700X」は65WとTDPにも差が生まれているものの、逆に言えばそれ以外に大きな差はなく、ユーザーにとってどちらを選べばいいかは少し悩みどころだろう。このあたりは、後半のベンチマークセッションでそれぞれの利点を紐解いていきたい。
どちらのCPUにも「Wraith Prism with RGB LED」が同梱される。TDP105Wに対応することもあって、これだけのハイエンドCPUでも同梱クーラーで済ませられるのはコストを重視するユーザーにとっても嬉しい | RGB LEDによるカラー・パターンの制御にも対応。各メーカー製ユーティリティーからも制御できる |
同梱されるCPUクーラーは、いずれも「Wraith Prism with RGB LED」。銅製の受熱ベース、4本のヒートパイプを採用する豪華な仕様が売りのTDP105W対応クーラーで、CPU同梱品としては最高レベルの性能を備えている。8コア/16スレッドの上位モデルである「Ryzen 7 3800X」も問題なく冷やしきれるため、別売クーラーを用意する必要がないのは嬉しいポイントだろう。
実勢価格は「Ryzen 7 3700X」が42,300円前後、「Ryzen 7 3800X」が50,700円前後と、それぞれの価格差は約7,000円ほど。いずれもIntelの8コア/16スレッドCPU「Core i9-9900K」よりも安価であり、メインストリームCPUとしては手頃な価格と言えるだろう。特に4万円台前半で購入可能な「Ryzen 7 3700X」の人気が高いのもうなずける。