エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.778
2019.09.25 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
これまでと同じSocket AM4を使用する第3世代Ryzenシリーズ。しかし、そのパフォーマンスを最大限に引き出すには、電源回路の良し悪しが大きく影響する |
さて、ここからは画像を使い、「TUF B450-PRO GAMING」の細部を検証していこう。まずは安定性・信頼性・耐久性を司る上で最も重要な電源周りからだ。Ryzen対応マザーボードとしてはやや少なめの4+2フェーズの電源回路だが、各フェーズに2基のフェライトコアチョークや、4基のMOSFETを搭載するかなり豪華な構成。またスイッチングクロックの制御にスペクトラム拡散方式を採用する、デジタルPWMコントローラ「DIGI+VRM」を組み合わせることで、従来のアナログ方式に比べて高効率かつ安定した出力が可能。さらに電源回路自体から発生するノイズも大幅に低減されているという。
電源回路は4+2フェーズ。数字だけを聞くと少なく感じるかもしれないが、フェライトコアチョークやMOSFETは通常のマザーボードより多く、外観からは10フェーズ回路のように見える |
スペクトラム拡散方式を採用するデジタルPWMコントローラ「DIGI+VRM」。動的にフェーズ制御を行うことができるため、高負荷時だけでなく、低負荷時でも効率のよい電力供給が可能だ |
CPUソケット上側と左側に各1基ずつ実装されるヒートシンク。MOSFETだけでなくチョークコイルも同時に冷却できるよう、それぞれ2枚の熱伝導シートが貼り付けられていた |
またCPUに安定した電力を供給するミリタリーグレードの「TUFチョークコイル」や、一般的なコンデンサに比べて温度耐性が20%、製品寿命が5倍に引き上げられた「TUFコンデンサ」、電力効率が高く、発熱の少ない「TUF MOSFET」など、厳選された「TUFコンポーネント」を採用することで、安定性と信頼性を高めているワケだ。
各パーツが整然と配置された電源回路。フェライトコアチョークの間には隙間も設けられており、CPUクーラーやケースファンの風を使い効率よく冷却する仕組み |
ドライバICの配置を見る限り、CPUソケットの左側に3フェーズ、上側に3フェーズの計6フェーズ構成 |
CPUコア用の4フェーズ電源には、2基の「TUFチョークコイル」と、4基の「TUF MOSFET」を搭載 |
コンデンサはいずれもブラックカラーのアルミ固体コンデンサ「TUFコンデンサ」を採用する |
「TUF B450-PRO GAMING」が実装しているチップセットは、Socket AM4向けミドルレンジの「AMD B450」。第3世代Ryzenシリーズと同時にリリースされたAMD X570に比べると、PCI-Express4.0のサポートや、レーン数、NVIDIA SLIへの対応などに制限がある。一方、自動オーバークロック機能の「XFR2 Enhanced」「Precision Boost Overdrive」や、ストレージ高速化技術「StoreMI」には対応しており、ミドルレンジクラスのマザーボードを選択するユーザーにとっては大きな影響はないだろう。
チップセットには、TUFシリーズロゴがデザインされたスリムヒートシンクを搭載。なおAMD X570に比べて発熱が少ないためファンはなく、光るギミックも搭載されていなかった |
チップセットヒートシンクのサイズは実測74×44mm。基板にはプッシュピンで固定され、チップセット接触面には厚手の熱伝導シートが貼り付けられていた |
AMD X570との最大の違いはPCI-Express4.0への対応。最新NVMe SSDを使った場合でも転送速度は3,500MB/secで頭打ちになる。ただし、実際の運用でその違いを体感できることはほとんどないだろう |