エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.778
2019.09.25 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
テストセッションのラストは「UEFI BIOS Utility」からCPUコアクロックと、コア電圧を調整して、常用レベルの比較的ライトなオーバークロックを試してみよう。なおベンチマークテストは「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の4種類で、すべてのテストが完走できるコアクロックと電圧の組み合わせを探ってみることにした。なおメモリには「F4-3600C19D-16GSXWB」を使用している。
今回は、CPUコアクロック4.30GHz、コア電圧1.350Vの設定で、全てのベンチマークが問題なく動作した |
コア電圧は設定値よりやや高めに表示されているが、シングルスレッド、マルチスレッドに関係なく、全コア4.30GHzで動作。ベンチマーク中にクロックが低下することもなかった |
ロードラインキャリブレーションなど、細かい設定を一切しない簡易的なチューニングだが、CPUコアクロック4.30GHz、コア電圧1.350Vの設定で、OSの起動、ベンチマークとも問題なく動作させることができた。また「CINEBENCH R15/R20」のスコアを確認するとマルチコアテストはいずれも約9%スコアが向上し、動画のエンコードやレンダリングなどでは効果が期待できるだろう。ただし、シングルコアテストでは、定格でも自動オーバークロック機能により、クロックが引き上げられるため「CINEBENCH R15」では同等、「CINEBENCH R20」では3%定格が上回った。
続いてゲームベンチマークを確認すると、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」は、やはりシングルスレッド性能が重要になることから定格が若干だが上回る結果。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」では、4.30GHzが上回るがその差は1%未満に留まる。シングルスレッド性能が重要なアプリケーションやゲームをするなら、ライトなオーバークロックをするより、定格のままで運用したほうが良いだろう。
最後に消費電力の違いもチェックしておこう。今回のチューニングではコア電圧を固定しているため、アイドル時でも電圧が下がらず10W以上とやや大きな差がついた。またCPU関連のベンチマーク中は約50W消費電力が増加しているが、安定性・信頼性を重視した電源回路のおかげで、ブルースクリーンやフリーズといった不安定な挙動を示すことは一切なかった。
AMD B450が第3世代Ryzen登場前にリリースされたこと。また、もともとがエントリーからミドルレンジを担うチップセットのため、コストを削減するあまりハイエンドCPUとの組み合わせには、正直あまり向いていない製品もある。
しかし、「TUF B450-PRO GAMING」では、「TUF GAMING」シリーズのウリでもあるミリタリーグレードの「TUFコンポーネント」をはじめ、デジタルPWMコントローラ「DIGI+VRM」や、大型のヒートシンクを組み合わせることで、Ryzen 9 3900Xの定格駆動はもちろん、常用クラスのオーバークロックも可能。さらにメモリ回路の設計も最適化が進んでおり、オーバークロックメモリへの対応も良好だった。
今回検証に使用したRyzen 9 3900Xでもまだまだ余力を見せてくれた「TUF B450-PRO GAMING」。今後登場予定の16コア/32スレッドモデルRyzen 9 3950Xでも安定動作が期待できる |
チップセットの制限により、PCI-Express4.0や、NVIDIA SLIによるマルチグラフィックスには非対応。またネットワーク機能もRealtekのギガビットLANのみと、ハイエンドモデルと比べると見劣りする面があるのは確か。しかし、10,000円強という価格ながら、ハイエンドと遜色ない安定性・耐久性を重視した設計は、大いに魅力。コストを抑えつつ、第3世代Ryzenシリーズを使いたいなら「TUF B450-PRO GAMING」は候補に入れるべき製品だ。
協力:ASUS JAPAN株式会社