エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.785
2019.10.15 更新
文:松野 将太
では、メモリクロックによるPCのパフォーマンスへの影響をベンチマークテストで見てみよう。まずは「Sandra 20/20」の「メモリの帯域」と「メモリのレイテンシ」のスコアをチェックする。AMD環境ではDDR4-3200が定格だが、D.O.C.P.プロファイルを適用したDDR4-3200の状態と、JEDEC標準のDDR4-2666、2つの動作クロックでスコアを比較している。
メモリの動作クロックには約550MHzの差があるわけだが、「整数メモリ帯域」はおよそ6GB/sec、「浮動小数点メモリ帯域」は5GB/secほどと、小さくない差が出た。帯域幅への影響は明らかなので、プロファイルを適用せずに使うのは損だろう。レイテンシについても、DDR4-3200動作時が15%程度の短縮に成功しており、効果は大きい。
CPUの定番ベンチマークである「CINEBENCH R20」では、それぞれのメモリクロックで動作させた際のスコアと、システム全体の消費電力を見てみよう。起動後10分間何もしなかった際の電力を「アイドル時」、「CINEBENCH R20」のマルチスレッドテスト実行時の最大値を「高負荷時」として、ワットチェッカーで計測している。
テスト自体がメモリをそれほど利用しないこともあって、メモリの速度によるスコア差に有意な違いは見られなかった。消費電力については、OC後のほうが高負荷時の電力がわずかに高くなるものの、気にするほどのレベルではない。メモリOCに関して言えば、OCによる消費電力増を気にする必要はそれほどないだろう。
次に、ゲーム系ベンチマークでメモリによるスコア差がどの程度つくかを見てみよう。フルスクリーン設定、解像度1,920×1,080ドット、最高品質の設定で「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」を実行し、スコアを比較している。
こちらはメモリの影響が如実に表れており、スコアにして1,000ポイント、約7%程度の性能差が出ている。出力レポートでフレームレートを見てみると、3,200MHz動作時は平均126fps、2,666MHz動作時は平均120fps。およそ6fpsの差で、少しでも高いフレームレートを稼ぎたいPCゲームでは有効と言えるだろう。ハイパフォーマンスを狙うのであれば、メモリのオーバークロックがフレームレートの若干の底上げになる場合も多いため、しっかり3,200MHzで動作させておきたい。