エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.788
2019.10.21 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードの搭載テストにはGIGABYTE「GV-N2060GAMING OC-6GD」を用意。カード長は280mm(幅116.7mm/厚さ40.4mm)だが、有効スペース503mmの「ENTHOO LUXE 2」にとって、ショートサイズのグラフィックスカードに見間違えるほどだ。なお搭載スタイルは2パターン。まずは通常の水平マウントを試そう。
搭載方法は一般的なPCケースとなんら変わりなく、自作PC経験者なら誰もがマニュアルいらずで装着できる。空きスペースも計測するまでもなく、広く確保できている |
縦列3段の拡張スロットは、近頃の魅せるPC構築には必須とも言える、垂直マウントを可能にする。ここでひとつ注意なのが、ライザーケーブルは別途用意する必要があるという事だ。ボトム面には予めライザーケーブル(PH-CBRS_FL15)が固定されているが、これはあくまでMini-ITXマザーボード搭載時のもの。メインシステム用に流用しようとしても、ケーブルが短いため届かない。
拡張スロット金具は全3段。2スロット占有グラフィックスカードの搭載は、強化ガラス製左サイドパネルと接近を避け、マザーボード側2段を利用した |
ここまで大掛かりなPCケースだけに、冷却はDIY水冷を選択するユーザーは多いだろう。件の内覧会でも、PhanteksのDIY水冷パーツで構築されたPCが複数展示されていた。とは言え、ここではPCケースが主役だけに、簡易水冷ユニットの搭載テストに留める事にしよう。
用意したのは360mmサイズラジエターを使ったCooler Master「MasterLiquid ML360R RGB」(型番:MLX-D36M-A20PC-R1)だ。フロントやフロントサイド、ボトムにも360mmサイズラジエターは搭載可能だが、多くの場合チューブ長が足りず、設置ができないだろう。おのずとトップパネルを選択する事になる。
内部容積が広く、開口部も十分だけに、組み込み作業の難易度はそれほど高くない。ただしトラブルを回避すべく、グラフィックスカードだけは取り外しておいた。ちなみにマザーボードとトップパネルまでのクリアランスは実測で25mmほどだが、外形寸法の幅が240mmだけにメモリやヒートシンクに干渉することなくマウントができた。
偶然だが、ラジエターとグラフィックスカードはいずれも3連ファンで統一。イルミネーションを同期させれば、一体感のあるPCが容易に構築できる |
3つあるキーワードの最後は「POWER OF 2 IN 1」。これはDUAL PSUではなく、DUAL SYSTEMを意味する。電源ユニット収納ボックスの裏手には4つのネジ穴があり、ここにスタンドオフを立てればMini-ITXマザーボードが搭載可能。上部のメインシステムに加え、サブシステムが構築できる。
サブといっても決して非力ではない。近頃のMini-ITXマザーボードは電源周りもしっかりとした設計の本格派が複数存在し、メインシステムに引けを取らないPCが構築できるようになった。またPhanteksの専用電源「REVOLT X PSU」(型番:PH-P1200PS)をチョイスすれば、電源供給にも不安はない。これまで1台の筐体にデュアルシステムが組めるPCケースは存在しているが、やはりサブ的要素または”搭載できる事に意味がある”といったイメージだった。しかし「ENTHOO LUXE 2」では、PCに掛かる負荷をDUAL SYSTEMに分散させ、配信用途など実用的な運用が想定されている。
搭載テストにはASRock「X570 Phantom Gaming-ITX/TB3」を使用。付属のライザーケーブルを使えば、ハイエンド志向のグラフィックスカードが使用できる |
2スロット占有グラフィックスカードを垂直でマウント。なお注意すべきはCPUクーラーのクリアランスで、実測で約60mm程度の空きスペースしか確保できない。底面にラジエターを設置した水冷ユニットも想定できるだろう |