エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.792
2019.11.01 更新
文:松野 将太
セッションの最後に、システムの消費電力とGPU温度をチェックしておこう。テスト方法は、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を動作させた際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として採用し、計測はワットチェッカーで行っている。
アイドル時の消費電力は60W程度で、高負荷時の最大値は350W程度と高めだが、オーバークロックモデルのRadeon RX 5700 XTとしては妥当な範囲だろう。重量級ゲームのプレイ時でも400Wを超える場面は見られなかったため、電源ユニットは容量600Wクラス以上の製品を用意すれば問題ない。
オリジナルVGAクーラーの冷却力も見てみよう。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」実行時の温度の推移を「HWiNFO 64」で取得している。
見ての通り、どちらのモードでも「GPU Temperature」の値は70℃を若干上回る程度で、ハイクロックなGPUの発熱をよく制御できている。GPU Hot Spot Temperatureの値は最大で87℃をマークしているが、カードの厚みが2.5スロットに抑えられていることを考えれば妥当な値だろう。セミファンレス動作のため低負荷時の冷却はそれなりだが、高負荷時の温度に関してはあまり神経質になる必要もなさそうだ。
「Radeon RX 5700 XT Taichi X 8G OC+」は、ファクトリーOCにより引き上げられた優秀な性能、動作クロックの調整やLED制御などの機能性に加え、「Taichi」シリーズの一員らしいデザインの魅力も備えたハイエンドグラフィックスカードだ。すでに「X570 Taichi」などのマザーボードを利用しているユーザーはもちろん、ハイエンドなRadeon RX 5700 XT搭載カードを探しているユーザーにとっても、本製品は魅力的な選択肢になるだろう。
実勢価格は65,000円前後と、現行のRadeon RX 5700 XT搭載カードとしてはトップクラスの強気な価格付けだが、その理由は現行最速クラスの動作クロックの実現に加え、10+1フェーズの電源回路をはじめとする豪華コンポーネントを採用した結果である。今後のグラフィックスカード市場におけるASRockの動向にも注目だ。
協力:ASRock Incorporation