エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.793
2019.11.04 更新
文:pepe
視野角によるコントラストや輝度の変化が少なく発色の良いIPS方式を採用したアンチグレアパネル |
ここからは、実際に電源を入れてその映り具合を確認していこう。「AORUS AD27QD」のパネルには、TNやVA方式に比べ応答速度で劣るとされるIPSパネルが採用されているが、その代わりに視野角によるコントラストや輝度の変化が少なく発色の良さが魅力だ。アームジョイントの広い調整範囲を生かして2画面、3画面といったマルチディスプレイ環境の構築にも向いているだろう。
第一印象はIPSパネル特有の発色の良さと、輝度350 cd/m2の恩恵によりとても明るく感じる。OSDでは明るさ(brightness)が最大100まで設定可能だが、初期設定では80となっており余力のある明るさに驚く。もちろん使用する環境に左右されるが、一般的な室内であれば十分過ぎるくらい明るい。コントラストもギラつくことなく、明るいが色が薄くて白っぽいといった事も無い。
変化が出やすい上からの覗き込みと、下からの見上げもほとんど差はない |
特に左右からの変化はほぼ感じられない、滲みのように見えるのは撮影時に発生するモアレだ |
撮影画像では上から覗き込んだ場合にわずかに色かぶりを感じるが、液晶パネルを下に向けた場合はデスクとパネルの距離が近くなるためパネル自体の発光が反射して撮影に影響した可能性も否定できない。実際の目視では、視野角変化によるパネルの見え方にほとんど差はなかったことを付け加えておく。
一般的な8bit対応の液晶パネルの表示色は各RGBが256階調の約1,677万色だが、「AORUS AD27QD」は10bit(8bit+FRC)に対応することで各RGBが1,024階調の約10億7,374万色の表示色を実現する。IPS方式を採用していることも相まって、鮮やかで滑らかなグラデーションにより表現力が豊かになる。特にグラフィックス関係を扱う用途では必須ともいえる機能だ。
出力色深度、10bpcが有効になるのは120Hzまでとなり144Hz設定時は8bpcとなる |
スペック上の輝度は350 cd/m2となっているが、「AORUS AD27QD」はVESAのDisplayHDR規格である「DisplayHDR 400」に対応している。この「400」という数字はパネルの最大輝度等をもとに規格分けされているため、ピーク性能は400 cd/m2程度になっているのだろう。実際のHDR機能はWindowsのディスプレイ設定から「Windows HD Color」をクリックし、HDRの機能をオンにするだけで有効となる。
Windowsのディスプレイ設定から「Windows HD Color」からHDRの設定が可能になる |
豊富なメニューとカスタマイズ性に優れたOSD |
豊富なOSDメニューやカスタマイズ性の高さはゲーミング液晶ならではの魅力だ。「AORUS AD27QD」では、正面中央下部にOSDメニューを起動させるジョイスティックタイプの「5-Way OSD Joystick」を備えている。このジョイスティックを前後左右およびクリック(押し込む)することですべてのOSD操作が行える。OSDメニューを起動すると、システム情報を表示させる「DASHBOARD」、ゲーマー向けの便利機能を集約した「GAME ASSIST」、各種基本的な設定項目が詰まった「SETTING」といった基幹メニューが出現。ここから目当ての設定を探して掘り下げていくことになる。
「GAME ASSIST」では、カウントアップ・ダウン式のタイマーを表示させる「Gaming Timer」、設定した時間を繰り返しカウントする「Gaming Counter」、リフレッシュレートを表示する「Refresh Rate」、これらのOSD情報の表示位置を調整する「Info Location」、練習用のクロスヘアを表示する「Crosshair」、マルチモニタ環境のセットアップに便利な「Display Alignment」のガイド表示ができる。
「DASHBOARD」は、CPU温度やクロック、ファン回転数といった任意のシステム情報をOSD表示させる機能。表示させるには、後述するデスクトップアプリ「AORUS OSD SIDEKICK」を起動・常駐させておく必要がある | 「GAME ASSIST」は、カウントアップ・ダウン式のタイマー機能や練習用のクロスヘア表示機能など、主にゲーミング向けの便利機能が集合している |
OSD情報の表示位置を調整する「Info Location」により、液晶画面の四隅に表示させることができる | 「Display Alignment」を使うとガイドが表示され、マルチモニタのセッティングも簡単になる |
「SETTING」は画面の見え方をカスタムできるメニューで、「Gaming」項目ではモーションブラー軽減機能「Aim Stabilizer」、暗部の視認性を高める「Black Equalizer」、画質のエッジを強化する「Super Resolution」、アスペクト比を設定する「Display Mode」、応答速度に関わる「Overdrive」、ディスプレイ同期の設定機能「FreeSync」などの設定が並んでいる。
「SETTING」を選択すると上部に現在の設定状況が表示され、その下は詳細設定の項目が並ぶ | 明るい部分の露出を抑えつつ、暗い部分の視認性を高める「Black Equalizer」 |
画質のエッジを強化する「Super Resolution」 | アスペクト比を設定する「Display Mode」 |
応答速度を設定する「Overdrive」は、「Picture Quality」/「Balance」/「Speed」の3項目。標準では「Balance」になっているが、それぞれの違いは後ほど検証したい | ディスプレイ同期の「Adaptive-Sync(FreeSync)」の有効無効を設定する「FreeSync」 |
「FreeSync」を無効にすることで、一番上にある「Aim Stabilizer」の項目が選択できるようになる |
OSDメニューは多言語対応。もちろん日本語表示にも対応している | 「5-Way OSD Joystick」に任意のOSDメニューを割り当てる「Quick Switch」。上下左右に傾けるだけで、任意のメニューを素早く呼び出せる |
「Save Settings」では、最大3つまで任意の設定を保存できる |