エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.798
2019.11.19 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
次にグラフィックスカードを搭載してみよう。今回の組み込みセッションでは、フロントパネル裏手にラジエターを設置する事を選択。「開放レイアウト」で組み上げようというワケだ。そこでグラフィックスカードの有効スペースは、最大値の440mmまで利用可能。どんなにハイエンドでも、さすがに収まる数値だ。
搭載テストには以前詳細検証を行ったMSI「GeForce RTX 2080 VENTUS 8G OC」を使用。2.5スロットを占有する「VENTUSクーラー」を備え、カード長は268mmとされる |
搭載方法は拡張ブラケットを内部固定するだけ。モデル特有の仕掛けは特になく、マニュアル無しで作業は完了できる。なおグラフィックスカード末端から水冷ユニットまでは約150mmの空きスペースが残されている。「開放レイアウト」はグラフィックスカードにとって、かなり居住性が高いと言えるだろう。
なおオプションのライザーケーブル「Flex VRC-25」を用意する事で、グラフィックスカードの垂直マウントも可能。予算との相談が必要だが好みで選択したい |
組み込みセッションの最後に、ストレージを搭載しよう。内部レイアウトにより収納量が変わるとあって、パーツ選定時よりどのような構成にするか、明確にしておく必要がある。マニュアルをダウンロードするなど事前に情報を収集しておきたい。ここでは「Vector RS」のストレージ収納スペース計4箇所で、搭載テストを実施した。画像だけを眺めると、多くのストレージが収納できるように見えるが、一部ではトレードオフの関係にある排他仕様である事を付け加えておく。
6枚付属する2.5/3.5インチ共用専用トレイに対し、1台間隔で3.5インチHDDをマウントしてみた。フロントファンからの直接風をHDDに当てたい場合は、このあたりの位置に固定するといいだろう |
左側面のパネルカバーを外すとネジ穴が露出。Fractal Designでは、2.5/3.5インチ共用専用トレイをより確実に固定するため、万が一輸送する場合は、シャドウベイ背面からネジ留め補強する事が推奨されている |
「開放レイアウト」時に出現する、搭載スペースに2台の3.5インチHDDを固定。コネクタは両者がお見合いするような格好でマウントする事になる |
2.5インチ専用トレイにSSDを底面からネジ留め | マザーボードトレイ背面の定位置に2台の2.5インチSSDを固定。コネクタは下向きがいいだろう |
ボトムカバー天板部への移設も試してみた。この場合、コネクタ位置は逆に付け替える事で、マザーボード側でケーブルが接続できるようになる。強化ガラス越しに銘柄が露出でき、ケースが発光するSSDなどをチョイスしても面白い |
3面に強化ガラスを採用。アクセントにフロントとトップにかけて、RGB LEDストリップまで標準装備する「Vector RS」は、紛うことなき”魅せるPCケース”だ。どちらかと言えば、その手の趣向には見向きもしなかったFractal Designだが、「Define S2 Vision RGB」を皮切りに、やや”そちらの方向”にも目を向け始めた。市場の動向に多少なりとも押し切られた感があるものの、決して流行に屈したワケではない。
思いの外嫌みが無かった内蔵RGB LEDストリップ。気に入らなければ消灯すればいい |
確かに”魅せるPCケース”と呼ばれるには十分な外観だ。しかしFractalのブランド名に由来した、多角形デザインの完成度が高く、決して”チャラくない”のだ。
トップの三角屋根が特徴だが、前面も実によくできている。フロントパネルは異なる素材同士が立体的な形を作り出し、角度によって違った見え方をする。さらに素材を”線引きする”RGB LEDストリップのラインは、全体をシャープに見せる効果があり、単なる装飾ではない事に気付く。
出荷量、人気は断然「Define R6」シリーズだろうが、実は「Vector RS」こそ最もFractal DesignらしいデザインのPCケースではないだろうか。外観デザイン、内部構造、そして売価まで、「Vector RS」はどこを取っても見事にバランスがいいのだ。
協力:Fractal Design
株式会社アスク