エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.799
2019.11.23 更新
文:撮影・松野 将太
ここからは、実際のゲームに即したベンチマークソフトでのチェックを実施していく。人気のMMO RPGの最新アップデート版「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテストでは、描画品質を“最高品質”に設定し、1,920×1,080ドットでの計測を実施した。
このベンチマークでは実行できる解像度の最大値が液晶ディスプレイの解像度に依存するため、1パターンのみの計測となったが、評価は最高の「非常に快適」を達成。平均フレームレートは56.6fpsとわずかに60fpsを下回ったものの、プレイ自体は最高画質で可能だろう。ゲーム用PCとしての購入はおすすめできないが、出張などで作業をしつつ、軽めのゲームもプレイしたいのであれば選択肢としてはアリだ。
続いてはより重量級の「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」のベンチマークスコアをチェックしていこう。描画品質は“高画質”で、解像度は1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類で計測している。
現行タイトルでもトップクラスに重いタイトルとして知られる同作だが、フルHD解像度でのテストでの快適度判定は「普通」、WQHDテストでは「重い」、4Kテストでは「動作困難」となり、フルHDでも快適にプレイできる水準には達していない。とは言え、もともとゲーム用のPCではないのだから、これだけのゲーム性能を求めるのは酷というものだ。
クリエイター向けのPCということで、写真編集と動画編集に関わるテストも試してみよう。まずは鉄板の写真編集アプリ「Lightroom Classic CC」で、299枚のNEFファイル(7,360×4,912ドット、容量12.5GB)を最高画質のJPEG画像に書き出すまでの時間を計測した。なお、テストは「Creator Center」のクリエーターモード有効/無効時の2パターンで実施している。
「Lightroom Classic CC」に関して言えば、以前掲載した「P65 Creator」のレビューでも良好な結果が出たが、今回の計測でもクリエーターモード有効時で現像完了時間が40秒ほど短縮できた。書き出し完了までの時間はクリエーターモード無効時が約7分21秒、有効時が約6分40秒。外出先で写真を撮影し、そのまま現像するような作業フローにも活用できるだろう。Lightroomを活用する写真編集に関しては、クリエーターモードの有効化は文句なしにおすすめできる。
最後に動画編集ソフト「Premiere Pro 2019」での動画書き出し時間をチェックしよう。再生時間6分の4K動画を、H.265(HEVC)、解像度フルHDのMP4ファイルとして書き出すまでの時間を、クリエーターモード有効/無効時の2パターンで計測している。
こちらのテストでは、クリエーターモードの有効/無効にかかわらずほぼ一定の時間で書き出しが完了する。書き出し完了までの時間は約6分20秒で、こちらも、速度としては申し分ない。出張先などでも動画編集を行う必要がある、といったシーンでは活用しやすそうだ。
「Prestige-15-A10SC-026JP」は、CPUに「Core i7-10710U」、GPUにMAX-Qデザインの「GeForce GTX 1650」を採用したエントリークラスのクリエイティブ性能を備え、小型・軽量な筐体で持ち運びに特化したノートPCだ。低~中負荷のクリエイティブ作業をこなす場合や頻繁に持ち運ぶ場合は有力だが、4K動画編集などハイパワーな作業や据え置き運用にはそれほど適さないなど、想定される使用シーンがはっきりしているため、購入の際は用途を吟味したいところ。
一方で、CPUやGPU以外に目を向けると、NVMeストレージ搭載、Wi-Fi 6や指紋認証でのログイン対応、長時間バッテリー駆動など、単なるクリエイティブノートPCとして捉えるにはもったいない利便性を備えているのも1つのポイント。ディスプレーの180度展開、ファンクションキーでの画面回転といった商談・ディスカッション向けの機能もあるので、日ごろのビジネスや営業の相棒として活用するのもいいだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社