エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.801
2019.11.25 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
Ryzen Threadripper 3960X 市場想定売価税抜164,800円(11月30日11時発売開始) 製品情報(AMD) |
今年2月の最上位GPU「Radeon VII」を皮切りに、7月にはメインストリーム向けCPU第3世代Ryzenシリーズと、ハイエンドGPU「Radeon RX 5700」シリーズを投入。さらに10月にはミドルレンジGPU「Radeon RX 5500」シリーズを発表するなど、コンシューマ向け市場でも順調に7nmプロセス化を進めているAMD。その最新モデルとなる「HEDT」(High End Desktop :ハイエンドデスクトップ)CPU、第3世代Ryzen Threadripperシリーズの国内発売が11月30日(土)11時に開始される。
AMD製CPUのラインナップ一覧。第2世代Ryzen Threadripperシリーズと、APU以外はすべて7nmプロセスに移行している |
コアアーキテクチャは、第3世代Ryzenシリーズと同じ「Zen 2」で、PCI-Express3.0の2倍の帯域幅を誇るPCI-Express4.0に対応。また従来モデルからIPC(Instruction-per-Clock)は15%、浮動小数点演算処理性能は2倍に向上。さらにプロセス微細化に伴う動作クロックの引き上げや、L3キャッシュの拡張などの改良も行われ、否が応でもそのパフォーマンスには期待が掛かる。
第3世代Ryzenシリーズと同じ「Zen 2」アーキテクチャを採用。プロセスの微細化により、動作クロックも引き上げられている |
また内部設計もCPUダイである「CCD」を「Infinity Fabric」で相互に接続する従来の構成から、メモリやPCI-Express4.0バスを搭載するI/Oダイ「cIOD」を中央に据え、そこに「CCD」を接続する「チップレット」方式に変更された。これにより、すべてのダイから同じスピードで、メモリやPCI-Express4.0にアクセスすることができるようになった。
第3世代Ryzenシリーズと同じ「チップレット」方式を採用。なお「CCD」と「cIOD」の接続には「Infinity Fabric」を使用する |
これに伴い、CPUソケットはSocket TR4からSocket sTRX4に、チップセットもAMD X399からAMD TRX40へと変更された。残念ながら第1/2世代のRyzen Threadripperシリーズとの互換性はなく、第3世代Ryzen Threadripperを使う際にはマザーボードを新たに購入する必要がある。
第3世代Ryzen ThreadripperとAMD TRX40チップセットのシステムは、PCI-Express4.0と合計88レーン(CPU 72/マザーボード16)の豊富なレーン数を活かし、インターフェイス帯域幅も大幅に向上している |
今回発売が開始されるのは、24コア/48スレッドの「Ryzen Threadripper 3960X」(定格3.80GHz/ブースト最大4.50GHz)と、32コア/64スレッドの「Ryzen Threadripper 3970X」(定格3.70GHz/ブースト最大4.50GHz)の2モデル。同じコア数の第2世代モデルから、定格クロックはそれぞれ800MHzと700MHz、ブーストクロックはいずれも300MHz引き上げられ、シングルスレッド、マルチスレッドとも大幅な性能アップが期待できる。ただし、その分TDPも280Wへと30W増加し、これまで以上に冷却には気を配る必要がありそうだ。
ウルトラハイエンドとなる「Ryzen Threadripper 3990X」。第2世代EPYCと同じく64コア/128スレッドに対応する |
そして、コンシューマ向けでは史上初となる64コア/128スレッドに対応する「Ryzen Threadripper 3990X」の存在も明らかにされた。詳細スペックは現時点不明だが、2020年中の投入を目指し、現在鋭意開発が進められているという。
代々ユニークなパッケージを採用するRyzen Threadripper。第3世代でもパッケージデザインが刷新された |