エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.804
2019.12.04 更新
文:/撮影・pepe
続いて筐体周辺の騒音値をチェックしていこう。テスト条件は先ほどの「ベンチマークテスト:CPU/GPU温度」実施中に、ケーストップ、ケースフロント、右側面、左側面から30cm離れた場所にデジタルサウンドメーターを設置し、テスト中の最大値を記録した。
アイドル時のノイズは、電源を入れていない暗騒音時からわずか1dBA以内の上昇に留まっている。ケースのサイドパネルがソリッド仕様ということもあり、アイドル状態では電源が入っているのか一瞬分からなくなるほど静かだ。また「3DMark Time Spy」を60分間実行した高負荷テストにおいてもケーストップの46.9dBAが最高値とかなり低く、過去にいくつか検証を担当したBTOと比較してもトップクラスの成績を残した。
ベンチマークテストのラストは消費電力をチェックしていこう。先ほど同様に高負荷時は「3DMark Time Spy」ストレステスト実施中の消費電力、アイドル時は起動直後約5分放置した数値を採用している。
アイドル時の消費電力は59W、「3DMark Time Spy」ストレステスト実施中の最大消費電力は329Wとなった。検証機および、標準構成時はどちらも650W電源ユニットを採用しているため、概ね80PLUS GOLD認証の効率を最大限に引き出す消費電力で運用できている。仮にCPUやグラフィックスカードを上位モデルに構成変更したとしても、650~750Wクラスの電源ユニットで問題なく運用できるだろう。
「Silent-Master」の歴史は長く、2014年の初登場以来続く静音をコンセプトにした人気シリーズだ。一般的には高性能なパーツを使えば発熱が増えるため、それを冷却するために冷却用のファンを高回転で回す必要がある。「Silent Master」はそうした“常識”に立ち向かい、マシンの性能を犠牲にせず如何にして低ノイズで運用するかを追求。性能と静音性を両立する良いとこどりのBTOが誕生した。
ややくどいようだが、静音化の要となっているのは、Noctua製冷却パーツの存在だろう。CPUクーラーやケースファンは、風切り音やファン自体の軸音などから成るノイズによって騒音の最たる要因になりがちだが、実際の検証によって裏付けられた静音性を発揮するNoctua製品は、目指す“究極の静音”にとって欠かすことのできない重要なピースといえる。加えて今回の評価機で使用されていたグラフィックスカードのMSI「RX 5700XT EVOKE OC(8GB)」、電源ユニットのCORSAIR「RM650X」はどちらも一定の負荷や温度以下ではファンが休止するセミファンレス仕様ということもあり、システム全体の静音化に大きく貢献している。
自作ユーザーにとって永遠の課題ともいえるPCの静音化。発熱の少ないローエンド構成で静音を実現するのは簡単だが、ビジネス用途をはじめ、最新の3Dゲームからクリエイターやプロフェッショナル向けのニーズにまで対応するBTOとなると、サイコム以外の選択肢はすぐに思い浮かべることができない。サイコムが妥協することなく愚直に静音を追求し続けた結果が「Silent-Master NEO」であり、性能と静粛性をともに求めるユーザーにとっての“正解”になり得る1台だ。
協力:株式会社サイコム